悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「やっほー。今日も美人だね」

にこっと笑って、クラークの隣から手を振ってくる。彼の目立つ紫の髪が、太陽の光でより鮮やかに見えた。

こういうのを、彼は失礼だとは思わないのだろうか。

「俺が手を貸してもいいぞ」

「いえ、結構ですわ」

クラークが騎士らしく手を差し出してきた。アメリアは一人で降りたい気持ちをこらえ、有難く手を借りる。

(友達にこんなことをさせて申し訳ないなぁ)

そんなことを、とほほと思いながら地面に降り立った。

「……ところで、ルカ様はなんのご用でしょう?」

「冷たいなぁ、仲良くなったアメリア嬢に会いに来ただけだよ」

仲良くなった覚えはない。周りの兵や貴族たちに聞こえるように言うので、アメリアは居心地が悪くなった。

(彼……わざとかしら?)

探るように見つめると、ルカがクラークの方を一度見て続ける。

「この前からずっとこの騎士が付いているけど、つきっきりになったのか?」

「え? まぁ、そうですわね」

わざわざ確認することではないように思えた。

この前、気付いたようなことを口にしていた気がする。

「授業まで少し時間があるみたいだし、またこの騎士と活動? とかするのかなと思って。それなら俺も散歩に加えてよ」

ルカは、本日の推し活も付き会うつもりでいるらしい。

それぱまずい。

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