悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
たびたび、新たに知った彼のおちゃめな一面にどきどきさせられた。彼の紺色の瞳に映し出されて、アメリアはちょっと恥じらう。

「そ、その、少しだけ……でも、そうやってエリオット様に心を読まれると、すごく気恥ずかしい時があるわ」

「それは嬉しいな」

なぜ『嬉しい』のだろう。

そんなアメリアの疑問は、一層肩を引き寄せられて吹き飛んでしまう。

「今の時間は、部隊の合同演習だったんだ。アルレッド、バイザーにいったん場を任せた」

あの、例の失礼な騎士たちだ。

軍関係では、当初からずっとエリオットの右腕にもなっている部下だと聞いた。

(結構優秀な二人なのねぇ)

実力だけでなく、現場判断、指揮と指導にも長けているようだ。

少し前、ムキムキの女装軍団に悪態を吐きながら飛びかかっていた光景が、嘘みたいに思える。

「今度何かあれば、俺を頼るといい」

「ううん、今日でもうきっと大丈夫よ」

さすがのルカも、冷や汗ものだったろう光景を思い出す。彼には悪いが、少しだけすっきりして笑ってしまった。

エリオットの方も、安心しきった顔でアメリアを見つめている。

けれどそばに付くクラークは、同志の彼女の意見にも賛同できかねる様子で考えていた。

「それはどうでしょうね」



彼の呟いた言葉の通り――アメリアの考えは、甘かった。

ルカは、アホな第五王子だった。



◆§◆§◆



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