悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
その日の授業が終わったアメリアは、部屋の外に出て唖然とした。

部屋の外で待っていたクラークの横に、ルカもいた。エリオットに牽制を受けたというのに、当然の顔で合流したようだ。

「今日は早く終わったんだな。様子を見に来てよかったぜ」

留学というが、勉強をしているのか甚だ疑問だ。

(なぜ、様子を見に来る必要があるのかしら……)

強がりで今だけかもしれないと思おうとした。

だが、その翌日も、そしてさらに次の日も同じだった。

ルカは、授業の合間の休憩にも顔を見せた。時間がない際は手を振ってくるくらいとはいえ、王宮にくるたびに一日二回以上は顔を見る。

婚約者のエリオットを遠目で見る機会すらないというのに、どうして彼とは頻繁に会えるのかとげんなりする。

「今日もまた散歩するのか?」

「散歩ではなく、きちんとした場所探しですわ」

やはり暇なのだろうかと、アメリアはクラークを挟んで隣にいるルカに思ってしまう。

今日は、普段より多めに時間が使えるので貴重だった。

ここ数日の授業合間の休憩で、クラークとはすでに計画は立ててある。

「来月に、他国の王太子夫妻を招くイベントがあるんですって」

アメリアは言いながら、二人で仕上げている手帳を開く。

「内覧させるご予定になっていて、いつでも助太刀ができるよう、ミッシェル様が見える位置を探そうかと思いまして」

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