悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
クラークが剣の柄から手を放す。視線を真っすぐ向けられた途端、ルカが蒼褪めてアメリアの後ろに素早く隠れた。

「や、やっぱり抜刀しようとしてたんじゃん……!」

「そもそも、彼女の言葉は正しい」

ルカの言葉を聞き流して、彼がそう言った。

「結果だけを見て羨み、誰もそこにいたるまでの努力は見ようともしない。あなたがエリオット第二王子殿下に言った時も、同じですよ。殿下を知る人間には、さぞ嫌悪感を抱かせたことでしょう」

その話を聞いて、アメリアは先日のことが腑に落ちた。

エリオットに発言していたルカの話を聞いて感じていたもやもやは、それが原因だったのだ。

「あなたは軽率に栄光を悪口として使う。生まれ持った才能だと、努力を軽んじ、簡単に扱ってしまう。しかしながら、成功した者たちは不平不満や悪口を言う暇も費やして、常に努力を続けてのことです。それをお忘れなく」

クラークは感情の見えない目で、淡々とそう述べた。

ルカが、ちょっと居心地悪そうに視線をそらした。

「それは……まぁ、悪かったよ。教師みたいに厳しい騎士だなぁ」

「厳しくはないわよ、ただ正しいことを言っただけじゃない」

アメリアは、つい自身の口調で言って笑った。

その笑顔を直視したルカが、困惑と戸惑いが入り混じった顔をする。

「まだ何か納得できないことでも?」

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