悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
それは、ゲームでヒロインと攻略キャラたちを繋ぐメール代わりのアイテムだ。

(確かに、でたらめな鳥ではあるものね)

アメリアは、ゲームのパッケージのデザインを思い返す。鳥、と分類していいのか迷う個性的なキャラクターだった。

言葉は話さないが、言葉を理解してジェスチャーで返してくれたりする。

「あのネクタイ、可愛いですよね。僕もソフィアが教会で抱えているのを見て、その姿に一目惚れしてしまったというか」

ヒューゴののんびりとした笑顔を受けて、ヴァレンティーナがひくっとする。

「そ、そう、ヒューゴ様には可愛いと思えたのですわね……」

彼女の第一印象は違ったらしい。

出会いの風景は、鳥を抱っこしているシーンではなかったはずだ。

でも、それはそれでなんだか二人らしい出会いだとアメリアは感じた。想像すると微笑ましい。

「とても賢い鳥なのですわね。私も見たかったですわ」

実際に賢い。ある種、情報屋の立場にいる。

アメリアの言葉を聞いて、ソフィアが嬉しそうに笑った。

「はい、ありがとうございます。とても賢い子なんです。私が作った帽子を被ってくれて、手作りのベッドに毎日潜って眠るんですよ。もう可愛くって」

それも、まるで人間みたいな鳥だ。

アメリアはゲームのシーンを見ていたので、ソフィアに「そうなのですね」とにこやかに相槌を打った。

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