悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「とても素敵な旅行になるといいね」

ミッシェルが笑顔でそう言った。

「ありがとうございます。僕は思い切ってリゾートもいいかなと思ったのですが、ブルーノがよしとしなくて」

「またあの鳥かっ。お前らにとっていったいどういう存在なんだっ」

いよいよ訳がわからんぞと、ルカが目を剥く。

「え? 家族ですよ?」

「ふふっ、本当に賢い子なのです。危ないところの情報も教えてくれますし」

「情報を教える……?」

どうやって、とルカと同時にヴァレンティーナの顔にも出ていた。

「あら? そういえばルカ殿下は、バゼリリアン王国のお方なのですよね?」

「なんだ、また鳥か?」

訪ねたソフィアに、ルカが失礼にも露骨に警戒を見せる。

「はい。あの国って、今は王族の方々が騒がしいから避けた方がいいとかなんとか、ブルーノが――」

騒がしい?

ぎくっとしたルカが、次の瞬間急に大きな声を上げた。

「俺の国はとてつもなく広いぞ! うん、国土が面している国々の数が一番この大陸で多いことでも知られているしな! さて、そろそろエリオット殿下たちの時間も来るのではないかな!?」

立ち上がり、そわそわしながら彼がたくさん喋った。

アメリアはびっくりして、考えていたことも頭から飛んだ。ヴァレンティーナも咄嗟に耳を塞いでいた。

「煩いお方ですわね、そう立ち上がらなくとも聞こえていますわっ」

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