悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
そのこともついてもすでに目安は立てているようにエリオットには思えた。しかし兄は『男の自分が』と思っているところもあるようなので、しばし彼女も見守りに徹するのも目に見えていた。

(将来の国王妃、か)

なんとも頼もしい女性である。

ミッシェルは、よく頭が回った。そのうえ行動力も加わって、大貴族も舌を撒く優秀さときている。

(もし幼い頃が病弱でなければ、この十年で国はもっと変わっていただろうな)

ずっと影にいたことが信じられないほどの逸材だった。

今は体力にも問題がないことが分かった。ミッシェルの積極的な活動はたしかな実績を築き続けており、国民の期待はすさまじい勢いで高まっている。

当時、病床の才女であると熱狂させていた頃のように。

(――その基盤にあるのが、アメリアか)

ミッシェルを、敵なしの女性にしている原因は、エリオットの婚約者であるアメリア・クラレンスだった。

たぶん、本人は気付いていない。

エリオットから見ると、ミッシェルはかなりアメリアに固執していた。

『彼女が私を尊敬してくれるので――もっと、そのようにありたいと思うのです』

彼女は、エリオットから言わせても十分すごい女性だ。

それなのに、もっと上を、と目指させているあたりには、エリオットも身震いを覚えた。

(先日そう言っていた時の顔は、マジだったな)

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