悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
公務直前の休憩中、エリオットが大丈夫かと声をかけたのは、ミッシェルに何かあるとアメリアが心配するからだった。

けれどあの状態だと、当分は問題なさそうだ。

エリオットが余計な心配をすると、ミッシェルは冷ややかな笑顔で『それほどまでに信じられないのですか?』と言ってきそうな予感もある。彼女の怒りを買うのは避けたい。

それを何かエリオットが言おうものなら、従姉弟のヴァレンティーナが口うるさく文句を言ってくるのも推測できる。

彼女もまた、ミッシェルの〝猛烈なファン〟だったようだ。

ヴァレンティーナの場合、あの暑苦しい女装護衛団を差し向けてくるので、たまったものではない。

「殿下、お疲れ様でございます」

その時、歩くエリオットに二人の騎士が付いた。

それは軍籍側では、右腕であるアルレッドとバイザーだった。

「どうした、何かあったのか」

時間がなかったので、横目に見やり手短に尋ねる。

すると、二人が報告したのはまたしても第五王子ルカがアメリアのそばにいるということだった。騒がしい姿は目立っていたらしい。

「俺がそばにいられないのに、なんであいつがいるんだ」

エリオットは苛々した。

当然の顔をして、あの男がアメリアのそばにいる。

それを考えるだけで虫唾が走った。先日の言い分からして、意図があってアメリアに接近しているとしか思えなかった。

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