悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
アメリアといるチャンスを逃したくない一心で。

そう考えた途端、またしても胸の内側がざわついた。

大変面白くない。そんなことを憎たらしく考えていると、アルレッドがふっと前方を見た。

「そろそろ陛下との合流場所でございますね。最後に一つだけ、ご報告が」

「なんだ、これもまた急ぎか?」

「はい。クラーク騎士隊長、そして彼から依頼を受けハワード騎士団長から報告書を預かっております」

それは、エリオットとしても気になって待っていたものだった。

「ご苦労」

歩きながら、たたまれた紙を受け取る。二人は会釈すると、廊下の角を曲がる直前に何もなかったように離れていった。

【城の周りにあやしげな影、あり】

ハワード騎士団長からの報告には、クラークに頼まれた調査内容の結果が記されていた。

それは先日、クラークから報告を受けたものだった。

『ルカ殿下のことが気になりますので、もうしばらく泳がせてもかまいませんか』

警戒を抱かせていない状態で観察を続行したい、とのことだ。

なんのために、とはエリオットは尋ねなかった。

気になるものがなんなのか分からないからこそ、頭の中に引っかかった気掛かりを調べたいとクラークは言ったのだ。

「……城周りの調査、か」

どうしてそのような依頼をしたのか、意図が掴めなかった。

だが、クラーク自身からエリオットへの報告には大変興味深かった。

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