悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
【バゼリリアン王国では、兄弟は生まれた順ではなく、王位継承者と順位を決めるために独自の習慣がある模様】

それが現在、非公開で行われているところであるようだ。

その最中なのに、五番目の王子であるルカが国を離れているのはあやしい、とクラークは推測を書いていた。

留学のことを考えると〝急だ〟とも言えるのではないか、と。

「たしかにその通りだな」

向こうは一夫多妻制。最近国王への挨拶で聞いた内容によると、ルカを含め王子として認められた男児は十一人いたはず。

その中の五番目というと、まぁまぁ悪くない順番だと思える。

「――とはいえ、この『独自の習慣』とやらが分からないな」

国によって、王位継承は年齢順ではないことはままある。

クラーク自身は何やら憶測があるようだが、確証がないので、引き続きハワード騎士団長と調べると書いてあった。

(国王候補として優位になるための算段で、来国を?)

単純に考えると、王位継承の基本は妻候補がいる者にまず絞られる、という方法が浮かぶ。

これは、実際に他国でもある条件だった。

(つまり婚約破棄を狙って、アメリアを隣国に連れていくつもりが?)

エリオットが一番恐れていることは、アメリアを奪われることだった。だから真っ先にそれが浮かんでしまった。

(――彼女を妻にするのは、俺だ)

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