悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
どんな大国が相手だろうと、そんなことは絶対にさせないし、ちょっかいを出そうものなら許しはしない。

相手がアメリアとなると、冷静な判断が難しい。

それを分かって、クラークが『信じて任せて欲しい』と申し出たのも察してはいた。またしても思い出し、一度心を落ち着ける。

「……あいつが早急に対処していないとなると、ルカ殿下には別に目的がある、と考えているのか?」

ああ見えて、クラークが大変優秀な騎士なのはエリオットも承知している。

自分の直属の部下に欲しいと国王や軍部の上層部の者たちに述べたところ、全員が『それはいいことです』と押した。

『私は騎士学校時代からスカウトのためによく見て知っています。冷酷無情、その評判の通り、私情を挟まず任務を成功させます』

『あの若さで実に優秀な男です。将来、軍部を収めることになるあなた様には、必要な人材かと』

『エリオットよ、よくぞ良い提案をしてくれた。将来が楽しみだ』

若きエース。まさかの同時に父を喜ばせる結果にもなり、エリオットとしても大変満足がいく場にはなった。

まずは感情的なっている自分を落ち着けよう。

エリオットはそう思って、父が先に待っているであろう部屋を目指した。

「――そもそも、彼女の兄が他の男を認めるとも思えないがな」

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