悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
五章 予想外の事実から決着へ

その翌日。

アメリアは授業の予定より、一時間以上も前に王宮へ到着した。

その希望日程は、クラークにしか教えていなかった。しかし馬車の扉が開けられると、そこには当然の顔でルカもいた。

こう連日だと、さすがのアメリアも気が滅入る。

張り込んでいたとしか思えない。彼は相当暇を持て余している説が、彼女の中でまた一つ濃厚さを帯びた。

「……クラーク様、ルカ様どうにかなりません?」

王宮へと上がりながら、こそっと尋ねた。

「どうにもなりませんね。相手は王族ですから」

「無理、かぁ……」

クラークの横顔から、まるでしれっとするかのような返答がコンマ二秒できて、アメリアはがっくりとする。

国王の許可を得て、王宮内で泊まり込みの留学中なのだ。

なんとかできるのなら、当初からクラークが何かしているはずだろう。

(エリオット様の警告が全然効果がないのも、そのせいなのかしら……)

彼の国は大国であるというし、優遇されての滞在であるのかもしれない。留学というより、彼の場合は遊びなのではと勘ぐってしまう。

そんなことを思っていると、後ろをついてくるルカが「なぁ」と声を投げてきた。

「授業まで時間があるんだろ? 一緒に庭園でも散策しない?」

隙あらばお誘いだ。アメリアはむっとする。

「しません」

「エリオット殿下はお茶の予定も入れてくれないんだろ? ならさ、俺としよ?」

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