悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「彼は忙しいだけです。そして、私も忙しいです」

振り返らないアメリアの後ろで、ルカが首を「なんでだめ?」と捻る。

第二王子の婚約者を堂々お茶に誘っているのを、兵たちや貴族たちも気にしてちらちらと見ていく。

「あ、そうか。例の活動ってやつ?」

「そのまま授業先へ移動するので、ルカ様の相手をしている暇はないのです」

きっぱり断るアメリアの横で、クラークがそばまで距離を縮めてきたルカへと目を動かす。

「どうせ大回りでストーキングなんとやらを探しながら行く感じだろ? 散歩みたいなものじゃん。俺も付き合うよ」

すっかり見透かされている。

(そこは遠慮して欲しいのよっ)

いまだ付き合う気満々であると知って、アメリアは最終通告を突きつけられた心境で項垂れた。

実のところ、授業前に推し活をする予定でいた。この時間、午前の公務で宰相と用がある彼女とマティウスの移動を見られるかもしれないのだ。

それを期待して今日を楽しみにしていたというのに、推しもファンもよく分かっていないルカを連れて生きたくない。

一緒にいると、無駄話で集中している時間の一部が嫌でも削られる。

付いてこられるのは大変邪魔だ。しかし彼のせいで例の手帳の完成が遅れてしまうのも嫌……。

(このまま続行、するしかないわよね)

< 150 / 202 >

この作品をシェア

pagetop