悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
さっきの返答はなんだったのかとか言われると面倒だ。でも、その心配はなさそうだとすぐに分かった。

「なぁ、いいだろ? 邪魔はしないからさ~」

ルカはすっかり『する』という認識のうえで、しつこく確認し続けていた。仲良くしたくないという意思表示で目を合わせないようにしているのに、アメリアの顔を覗き込もうとする。

クラークが右へ左へと移動して、彼の急接近から守ってくれている。

何を言ってもどうせ付いてくるくせに、ルカはアメリアからの返事を待っているのだ。

冷たい感じで了承しても、勝手に好感触をもらえたと声を大にして答えられそうな気がした。見ている者たちに勘違いされて、エリオットとの不仲の噂を流されてしまったら嫌だ。

それが目的の一つだったとしたら、絶対に返事もしたくない。

アメリアは、ついドレスのスカートを子供みたいにぎゅっと両手で握り締めてしまっていた。

「――アメリア」

クラークが、唇をほんの少し開いた。

だが次の瞬間、アメリアを覗き込もうとしたルカの頭を、後ろからすごい速さで伸びた手が鷲掴んだ。

「おい、誰の許可を得てアメリアの真横に入ろうとしてんだよ。あ?」

低い声と共に、恐ろしい形相がぬっと覗く。

アメリアは、頭を押さえつけられて足を止めたルカと同時に悲鳴を上げた。

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