悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
だってアメリアは〝悪役令嬢〟で、彼のような攻略キャラを含めてみんなに嫌われて、婚約者となった第二王子には、誕生日を迎えることなく婚約破棄をされてぼっちのまま――。

あの時だって、今の未来は微塵にも予想していなかった。

アメリアはミッシェルを見送るべく頭を寄せ、隣に並んでいるクラークを横目に見た。

(ここを見られる位置で、彼と出会って。この場所でミッシェル様とも再会を果たしたのよね)

一人ぼっちでもいい。

ゲームに登場していた人達に嫌われても構わない。ミッシェルを一番に助けられるところにいられれば、それでいい――と思っていた。

いつの間にか三人、親友、と呼べるような関係なった。

(あ。でも、私がミッシェル様とクラーク様と親友だなんて、おこがましいか)

もしかしたらそれは、アメリアだけが思っていることかもしれない。

二人は友達だ。

この世界で初めてできた、かけがえのない二人だった。

「ん? どうされたのです、じっと見て」

ふっとクラークの目がアメリアに向く。

誰にも無関心の、難攻不落の攻略キャラ――前世でゲームをしていた時の、そんな知識が脳裏をよぎった。

(――でも今、彼、視線だけで応えたわ)

どうしてか一瞬、とても懐かしいような気に襲われた。

前世でよく知っていた人に、とても似ているような――そう思った時、目の前のその人が眉を寄せる。

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