悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「俺は戦争よりも仲良くするのが好きだ。うちの大国には頻繁にいろんな国から使節団やら来客もあったから、俺は結構な国数と面識があるぜ。国交関係でもサポートできるし、俺を使えばあんたの仕事も少しは早く終わるんじゃね?」

軽く提案をされたエリオットが、探る目をする。

「大国の五番目の王子でありながら、俺のために使われてやる覚悟がある、と?」

「守ってくれて、平和なら、俺は雇われてもいいって思ってる」

欲のない王子だと、アメリアは感じた。

たぶん、クラークもハワード騎士団長も同じだろう。当初の警戒心はなくなっていた。

ルカは、自ら動くことを悪いと思っていない。

日々が安泰なら、世話されるだけの優雅で贅沢な暮らしよりも、上司を持って働いてもいいと言っている。

(あの行動力は、じっとできない性格からきていたのかも)

刺客を警戒して、人の多いところを転々としていた。

それと同時に、彼自身は留学という形で、たしかにこの国や王政を見て回っていたのだろう。

それは彼にとって魅力的な〝勉強〟だった。

かなり文化も違う国からきたというのにそれを感じさせないのは、彼が寛容的で吸収が早いことも示している気がした。

「悪くないな」

エリオットが顎をひと撫でし、姿勢を改めてルカが覗き込む。

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