悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
終章 素直になる練習で甘いキスを

第五王子ルカの一件は、マティウスたちのことも配慮し、両陛下の優しい意向もあって内密に処理されることになった。

ルカはエリオットや臣下らに見守られる中、国王からの〝優しい説教と注意〟だけで済んだようだ。

それはエリオットが、あとのことを全面的に引き受けたおかげだ。

彼がバゼリリアン王国にとりかかっている間、アメリアは王弟妃教育に集中して取り汲んでいた。

彼の顔が見られなかったのは、ほんのしばらくの間だけだった。

いったいどんな交渉の手を使ったのか、ほどなくしてバゼリリアン王国から、ルカを王位継承の最下位に確定するという通達が届いた。

ルカは希望通り、兄弟争いから除外された。

そして、まんまとこの国に長期留学することが認められたのだった。

「バゼリリアン王国から急ぎの手紙で、王直々に『息子をよろしく頼む』というお言葉があったそうですわよ。エリオット殿下の手腕にも舌を巻きますけれど、ルカ様はほんと色々と騒がしいお方ですわね」

エリオットがルカとの約束を果たしたことを知った翌日、アメリアは特別サロンでヴァレンティーナと会った。

それは、協力してくれた礼を伝えるためだった。

マティウスへはエリオットが、そしてミッシェルへはヴァレンティーナが配慮に働きかけてくれたらしいのだ。

アメリアはそれを、クラークの報告によって知った。

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