悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「二人のご公務が外続きで助かりましたわ。ミッシェル様には、わたくしも一緒に大聖堂まで回った際、恋愛は誤解だったこと、勉強のためルカ様の滞在が伸びることは伝えています。戻り次第、また三人で例の場所で休憩するのでしょう? 会われた際には、話を合わせるようにお願いいたしますわ」

「はい、ありがとうございます。それから――エリオット様へ部護衛を貸してくださったことも、本当にありがとうございました」

アメリアは、深々と頭を下げた。

「いいのよ。あなたが気軽に来てくれるのも、その……嬉しいし……」

ヴァレンティーナが、大きく巻かれた金髪を手で忙しなく撫でる。

(相変わらずのツンデレ……)

けれど、出会った頃よりもちょっとだけ角が丸くなったような姿を、可愛いと思った。

ヴァレンティーナは、エリオットの部下たちやハワード騎士団長たちが、急に動かせる人数が限られることを分かって『白薔薇の会』の護衛たちを一部手伝いに寄越したそうだ。

彼らが出向いた際、エリオットがどんな表情をしていたのか、クラークに聞いた話から想像するたびおかしかった。

そうやってアメリアがほっとして笑えるのも、彼の疲労は軽減されていたと、周りの者たちが小刻みに報告してくれていたからだ。

心配せずとも大丈夫だと、たくさんの人に気に掛けられたのもくすだったかった。

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