悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
おかげで報告の役目を取られたロバートが、たびたびすねていた。

『なんだ、もう聞いたのかい? 僕が一番に言って喜ばせようと思ったのに』

エリオットの執務室で仕事をしている利点がなくなった、と言われた時はアメリアも笑ったものだ。

エリオットを待つ日々を過ごしながら、ただただ幸せだと思った。

悪役令嬢だったのに、こんなにもたくさんの温かな人たちに支えられている。だから――。

「ありがとうございます、ヴァレンティーナ様」

アメリアは静かな微笑みを浮かべて、心から感謝を伝えた。

気をそらすようにティーカップを持ち上げていたヴァレンティーナが、瞬きも忘れて見入る。

「あなた――外見が幼いのに、時々大人びた雰囲気になりますわね」

よく分からないお方、そう呟いた彼女が苦笑した。

「正直、一瞬でもミッシェル様以外の女性にどきりとして、悔しかったですわ」

「え? 何がですか?」

アメリアがきょとんとすると、彼女が珍しく噴き出す。

「ふふっ、やっぱり気のせいかしらね。悔しいから教えてあげませんわ。わたくしも立派なレディ、そしていずれ立派な婚約者になってみせます」

「やっぱりお家の方で、ご婚約者様探しはされているんですか?」

「わたくしの両親と、陛下が、ですわね」

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