悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
(クラーク様がギリリク隊長というお方を殺さなくて、ほんと良かった!)

王宮に来るたび、斬った斬られたという訃報がされていないか、気になって仕方がなかった。

「それまで、もうひと踏ん張りします」

「クラーク様、何かご予定があるんですか?」

「お前と殿下が休憩をしている間に、ハワード騎士団長たちと近くで落ち合う予定です。ざっと立ち話で済む業務報告ですから、問題ありません――が」

「『が』?」

珍しく何か懸念があるのだろうか。アメリアは小首を傾げる。

「ギリリク隊長にも時間を取られるかと思うと、無性に斬りたくなるのが問題ですね」

まだ、根に持っているのか。

一昨日、ミッシェルを見守る会をしていた際に、マティウスの近くにいた騎士を見たクラークを身体を張って押さえたことを思い出す。

(実際に会って大丈夫なのかな。でも……まぁ、ハワード騎士団長様がいるから大丈夫か)

アメリアは、笑顔が素敵な大柄な男を思い出してそう思った。

まだ忙しい合間だけれど、会う時間をどうにか作ってくれたエリオットに、これから会えるのがうれしくて仕方がなかった。



クラークに送られ、第二王子の執務室に到着する。

室内は人払いがされていて、軍服とマントを着けたエリオットが待っていた。

「ごめんね、忙しかった?」

「いや、二十分の時間は捻出できた。執務の方はロバートに任せたからな」

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