悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
好きだと伝えること。それから、時々、彼の過激な愛情表現にも応えようとがんばるところ……。

「じゃあ、練習してみようか?」

そっと手を引き寄せられ、いたずらっぼく笑い掛けられる。

もう、顔が目と鼻の先だ。この距離感はよく知っているから、アメリアの胸は一層高鳴る。

「アメリア、キスがしたい?」

「……して、欲しいわ」

「よくできました」

そんなの全然練習になっていない。けれど言葉と共に、エリオットの吐息が唇に触れて口が塞がれていた。

優しくて、甘くて、気持ちがとんとんとほぐれていく。

『ミッシェル嬢の件が終わったら、今度は俺を見て欲しい』

その言葉を表現するみたいに、舞踏会から何度もされたキス。

そのせいか、今日まで会えなかったから、エリオットに近付かれた時にアメリアは期待した。自覚もあるから恥ずかしい。

けれどエリオットは、アメリアが言えないと分かってそう聞いたのだ。

キスがしたいか、と。

「……ん……んんっ……ぁ」

優しく滑り込んだ舌に口内を撫でられて、背が甘く震える。

「寄りかかっていい」

ついジャケットを握ってしまってすぐ、キスの合間に囁かれて背を支えられた。

安心感に、強張りもすぐ抜けた。

中を探りながら反応を見ていたエリオットが、顎を少し持ち上げ、激しめにアメリアの舌と絡め合った。

「あっ……ん、んぅ……っ」

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