悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
目に入ったのは、マティウスとその母、そしてミッシェルだった。その周り固まっている大人達も王族関係者だろう。

(オーラが違うわ)

心の中で泣いた。ミッシェルが一際輝いて見える。

これほどロイヤルファミリーに似合い女性はいるだろうか。まさに銀髪の妖精のようだ。

「ありがとうマティウス殿下、肩を抱いてお母様との間にミッシェル様を挟んでいるの、最高に素敵です」

至福の光景だ。この世界に写真があれば、ぜひとも収めたかった。

涙腺が潤んだアメリアに、後ろの警備兵達が「ひっ」と声を上げている。なぜ突然涙、と困惑しているようだ。

「私もそう思いました」

そう答えたクラークの目が、極寒へと変わって後ろをゆっくりと見る。

「ひぃぃっ」

「――お前達、私は『見るな』と指示しませんでしたか? 視線が煩いですよ、ストーキングが台無しです」

「ストーキングって何!?」

「視線だけで煩いってひどすぎます! ご勘弁くださいませぇ!」

クラークがどんな隊長であるか、日頃知っている警備兵たちが、半泣きで互いを庇い合った。

だがアメリアは、そちらの騒ぎを振り返ることができなかった。

後ろが騒がしくなったと同時に、ミッシェルの近くにいた一人が、ふとこちらを振り返ってきたのだ。

(……ど、どうしよう。ばっちり目が合っちゃったわ)

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