悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
その時に彼女がやっていたのが、乙女ゲーム【ソフィア・ハーバーと青い鳥】だ。

ミッシェルは、モブの一人として登場していた。

当時アメリアは〝高貴なる令嬢〟として崇め、推し活をしていたのだ。

前世の記憶を持っているという秘密は、誰も知らない。

つまるところ妃教育の順番を先に譲ったのも、密かに奮闘して第一王子との婚約まで持っていったのも、〝最推し〟のミッシェルの幸せのためだった。

それが、前世事情を知らない者達の間で、かなり『女神的である』と好感度をぶっちぎりでいただいているのを彼女自身は知らない。

推しのミッシェルは、好いていたマティウスと無事に婚約した。

悪役令嬢という立場であることを〝思い出した〟アメリアは、けれど晴れてゲームのメインヒーローこと、第一王子のエリオットと両想いの婚約者同士になった。これで円満――かと思いきや、

「ああっ、今日も私の推しが美しい……!」

現在も噂の真っ只中にいる伯爵令嬢、アメリアは現在、絶賛茂みの植物に擬態して推しを観察、いや見守っていた。

手には、隣のやけに綺麗な男と〝お揃いの〟双眼鏡を持っている。

「宰相のお父様とのツーショットとか、大変貴重!」

「ご移動前に、本日から始まる王太子妃教育へ労いの言葉をかけておられるのでしょう」

「家でも聞いたはずなのに、ここでも話す時間を持つところもキュンポイントね!」

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