悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
若い部下の困惑顔が、そう語っていた。周りの者達も「今の目、迷いがなかったぞ」とひそひそしている。

「その、殿下の機嫌が今日はさらに悪くて」

若い彼は、手を添えてこそっと尋ねる。

ロバートはきょとんとしたのち、男性でさえ見惚れる笑みをにこっと浮かべる。

「ふふふ、『僕のアメリア』からの連絡がないんだって」

「あ」

室内に、途端に察した空気が漂う。

ロバートの笑い声はすぐに大きくなった。とうとう彼は、片手に持っていた書類の束を腰にあてて胸を張る。

「何せ世界で妹が一番好きなのは、まだ僕だからね!」

ロバートがどーんっと言い放った。

彼の元々の部下達も、第二王子担当の事務官達もドン引きした。

「残念なイケメンだ……」

「妹が関わるといつもそうだよ」

「応援する気でいたくせに、すごく楽しんでいますね……」

なんて残念なんだと一人が呟く。

「妹のファンなんだよ。今、ファンクラブの一番の支持者なんだってさ」

「あ、最近できたというアメリア嬢のファンクラブですね。密かな活動、がモットーでしたっけ――というかあの人、忙しいのにどこにそんな時間が?」

「うちのロバート様は、いちおう優秀なのよ」

部下たちが、ひそひそと話し合っている。

(ちくしょー、あいつめ)

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