悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
アメリアは、思い返してハタと気付く。パーティーの時に不快感を覚えた際は、きちんとエリオットを呼んでくれた。

(仕事外のことなのに、ルカ様のことで協力を申し出てくれているんだわ)

今の彼に与えられている命令は、アメリアの登城後に護衛としてつくこと。危ないと察知したら対応に出ることだ。

「じゃあ……一つ協力してもらっていいですか? ルカ様が現われそうな時にも、居てもらいたいんです」

「この前も言ったでしょう、私の護衛仕事は、お前の意思が最優先されると」

クラークが、組んだ足の上で重ねた手の指を叩く。

「お前が望むのならそうしましょう。馬車の到着予定時刻には待機しておきます」

「ありがとうございます! 心強いですクラーク様!」

思わず両手を向けると、クラークがハイタッチを返してくれた。

以前、うれしい時に友人同士でするものだと彼に教えていた。

『次にはできるようにしておきます』

そう言った通り、クラークは今や慣れたように応えてくれるのもうれしい。

「さすがはクラーク様ですっ、頼りにしています!」

「友人なのですから、嫌だと分かれば間に立ちますよ」

どうやら、それが判断基準でもあるようだ。

「ふふっ、話はまとまった? 私もその『ハイタッチ』とやらに混ぜてもらってもいいかな?」

「もちろんですーっ!」

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