悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
ミッシェルが両手を向けてきたので、アメリアは飛びつく勢いで手を伸ばした。クラークも素早く応えて、テーブル越しに三人が再びハイタッチする。

「なんですの? それ」

ヴァレンティーナが顔を顰める。

「アメリアが言うにはね、とても仲のいい者同士がするものなんだって。絆の確認みたいな?」

「えぇっ、何それ羨ましいですわ! わたくしもミッシェル様とやりたいですわ!」

それはそうだろう。彼女はミッシェルが『大好き』なのだから。

微笑ましく思って、アメリアはクラークと揃って見守ることにした。しかし直後、ヴァレンティーナの目が向いてきょとっとする。

「何をボサッとしているのですか。あなたたちはわたくしと仲良くしたくないのっ?」

叱るように言われて驚いた。

「何よ、その顔は?」

「え? あ、その、なんか意外で……?」

「バカね、わたくしは『あなたたちのハイタッチに混ぜて』と伝えたかったのよ」

目元を赤くしたヴァレンティーナが、照れ隠しのように不機嫌な顔をした。

友人の、仲間入りに。

アメリアは察して胸が熱くなった。てっきり協力関係があったから、茶会をしたり話しかけてくれたりしていると思っていた。

「ね。彼女もアメリアと仲良くしたいんだよ」

ミッシェルが温かく目を細めていた。クラークが小さく息をつく。

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