悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「やはり友達のなさが窺えますね。どう見ても、あれは好意からでしょうに」

「お黙りなさい近衛騎士隊長! わ、わたくしっ、そ、そんな露骨に好意なんて出してないしっ」

「ヴァレンティーナ様ぁ!」

アメリアは、我慢できず飛びついた。

「ちょ、いきなり懐くみたいに抱き着いてくるんじゃないわよっ」

「私はだめかな?」

「えっ! ぜひ!」

仲良しのスキンシップだと思ったのか、ミッシェルがアメリアの真似をする。ヴァレンティーナは、甚く感激して震えていた。

クラークが、顎に指を添えて考え込む。

「ヴァレンティーナ嬢、疑問が一つあるのですが。ハイタッチしたいというのは私も含めてでいいのでしょうかね?」

「あなた、そんなにわたくしに触りたくないわけ? 女嫌いもほどほどになさいよ」

彼女がピキリと青筋を立てた。

せっかく素直になったところなので、少しは女心というかツンデレ心を読んで欲しいなとは思う。でも――。

(うれしいなぁ)

この世界で、また一人友達が増えた。

こうして女の子同士わちゃわちゃと触れ合っていると、アメリアは前世の何かを思い出しそうな気がした。

一人ぼっちの悪役令嬢アメリアと違って、学校があって、サークルもあって、コミケで縁があった地域も違う人たちとコラボカフェなんかもよく行ったり、友達も多かった前世の『私』――。

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