悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「さすがお前です。自分が第二王子殿下の婚約者であることを棚に上げて、ミッシェル様の顔を知ってもらうためだけの活動に集中しようとは」

だが異論はないようだ。クラークは小さく拍手していた。

はじめから彼が同行してくれたおかげか、教室まで大回りしてストーキングスポットの開発を進める道中も、ルカは現れなかった。

(よしよし、邪魔されずに済みそうね!)

授業が始まると、場所を移動しつつ各授業へ真剣に取り組んだ。

そして授業後、アメリアが護衛のクラークと共に向かったのは、帰りの馬車――ではなく、貴族サロンだ。

(話しの中に、それとなくミッシェル様の良さを盛り込んでいくのよ!)

行動を予定していたアメリアは、授業後とは思えない元気さでサロンの入り口をくぐった。

そこには、ゆっくりと時間を楽しむ貴族たちの談笑の光景があった。

これからすることは、貴族らと友好関係を築くべく頑張っているミッシェルの助けになれるだろう。

『白薔薇の会』だけでなく、各ファンクラブも尽力していると聞く。

アメリアも、授業で忙しいと言い訳せずがんばらねば!

「お前が意外にも社交術に長けていることは分かっているので、ここだけは安心して任せられますね」

「ここだけって、どういうことですか?」

見上げて尋ねると、クラークは顎に手を置いた。

「――お前の行動は予想しかねますので」

< 73 / 202 >

この作品をシェア

pagetop