悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「だからなぜ突撃してくるの」

意味が分からない。

すると、ルカが「あっ」と口を塞いだ。どうやら、それは口にする予定ではなかったようだ。焦っている。

「……この人、意外とアホなのかしら」

「アホなのでしょう」

クラークが早々に見切った様子で頷く。

「おいこら聞こえてるぞっ、騎士の癖にバカって言うなっ」

「私は『アホ』と言ったのです。ちなみに私の護衛は第二王子殿下の命令ですので、そこは念頭に置いていただきたい――それで? あなたの目的は?」

クラークがズバッと尋ねる。

第二王子の命令、というとこがきいたらしい。

あえて詳細を語らなかったが、『ある程度の行動と判断の権限を与えられている』と汲んだのか、ルカが苦しげに言葉を詰まらせた。

「あのさ、そう睨むなよ。俺は、その、興味があるからアメリア嬢と仲良くなりたいだけだって」

「そんな風には思えないのだけれど……」

「まぁいいでしょう、我々は残りの時間が限られていますからね。あなた様の言い分は分かりました」

クラークがアメリアを止め、一歩ルカの前に出て見下ろす。

「ちなみに、私は睨んでいません」

「えっ、これで地顔!? あんた美形なのに損してるって言われねぇ!?」

随分思ったことをはっきり言う人だ。

(……意外と正直者?)

アメリアは、先程の反応を思い返す。

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