悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「ほら、警備の人たちも困惑しきってんじゃん」
やはり口調は王族らしくない。
廊下側にいる騎士たちが、密かに頷く。唯一の常識人、と言わんばかりの声援を雰囲気で送っていた。
だが、アメリアの次の言葉で、彼らは希望を打ち砕かれたような顔になる。
「何を言っているんですか。今はジョークを挟む場合ではないのですっ」
「いや、俺、ジョークじゃなく――」
「しっ、ここは集中しないと!」
黙ってと仕草で伝え、アメリアは素早く目を戻した。
ミッシェルは気疲れをしている様子もなくて安心した。マティウスと話している表情は、明るい。
いや、頬はまさに桃色である。
(あああああっ、活動が楽しくて仕方がないって顔をしていらっしゃる!)
彼と一緒にいること自体がうれしいのだ。
共に頑張れていることも、先日の言葉通りミッシェルには楽しさしかないと分かる。
(健気! 乙女!好きっ!)
アメリアは、ミッシェルの姿が植物の向こうに隠れてしまったところで、両目を押さえて天を仰いだ。ルカがびくっとする。
「な、なんだよいきなり――ってお前もかよ!」
続いてクラークが眼鏡を外し、目頭を手で押さえて顔を上へ向けた。
「クラーク様、見ていましたか今の」
「『私は大丈夫』と答えたミッシェル様が、指先を合わせていたのが最高でした」
「恋する乙女の表情が素敵すぎますよねっ」
やはり口調は王族らしくない。
廊下側にいる騎士たちが、密かに頷く。唯一の常識人、と言わんばかりの声援を雰囲気で送っていた。
だが、アメリアの次の言葉で、彼らは希望を打ち砕かれたような顔になる。
「何を言っているんですか。今はジョークを挟む場合ではないのですっ」
「いや、俺、ジョークじゃなく――」
「しっ、ここは集中しないと!」
黙ってと仕草で伝え、アメリアは素早く目を戻した。
ミッシェルは気疲れをしている様子もなくて安心した。マティウスと話している表情は、明るい。
いや、頬はまさに桃色である。
(あああああっ、活動が楽しくて仕方がないって顔をしていらっしゃる!)
彼と一緒にいること自体がうれしいのだ。
共に頑張れていることも、先日の言葉通りミッシェルには楽しさしかないと分かる。
(健気! 乙女!好きっ!)
アメリアは、ミッシェルの姿が植物の向こうに隠れてしまったところで、両目を押さえて天を仰いだ。ルカがびくっとする。
「な、なんだよいきなり――ってお前もかよ!」
続いてクラークが眼鏡を外し、目頭を手で押さえて顔を上へ向けた。
「クラーク様、見ていましたか今の」
「『私は大丈夫』と答えたミッシェル様が、指先を合わせていたのが最高でした」
「恋する乙女の表情が素敵すぎますよねっ」