悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
感想を伝え合った二人は、同時にうっとりと溜息をもらす。

「だから、なんなんだよお前らは!?」

ルカががばりと目を向ける。一人だけおいてけぼりにされたような気持ちのようで、理解できるように説明しろだのうるさく続ける。

「いえっ、こうしてはいられないわ!」

推し成分を摂取したアメリアは、彼の声を聞き流したうえで、興奮のままに立ち上がった。

「今度は、新たなストーキングスポットの探索!」

こうして、見守れる場所をもっと増やすのだ。そして、もっと今の幸せいっぱいなミッシェルを見たい。

中庭から廊下へ上がったアメリアとクラークに続きながら、ルカが目を剥く。

「ストーキング!? 何それ、こわっ。いったい何をしているんだよ!?」

「見守る会ですわ」

「何真っすぐな目で『正当です』みたいに主張してんだ。今、ストーカー紛いなこと言ったばかりだけど!?」

彼こそ、いったい何を言っているのだ。

これは女神の幸せを見守る一環だ。

危険あれば身を挺してお守りするし、彼女が困ったなら、いち早く対処できるための崇高な行動なのだ。

最推しの高貴なる令嬢を、この目に収めたい。

アメリアはその欲を、堂々正当化する。

「お前の言う通りです。それは早く完成を進めるべき案件です」

「ストーキングスポットだぞ!? お前ら、何かまずいものを作ってるのか? 刺客かスパイだったりするのか!?」

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