悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
連れ込まれそうになったら即ぶん殴るけど、とアメリアはルカに思った。彼にされることを想像したら、エリオットと違って嫌悪感しかない。

(でも……殿下、害はないのかなぁ)

どこか人がいないところで二人きりになるだとか、そういうことは全く考えていなかったようだ。

年齢的に言えば、エリオットや兄のロバートとほぼ同じくらいだろう。

それなのに、人の気配がないところはまだ子供みたいに怖く感じるのか。それもちょっと不思議だとアメリアは思った。



※・※・※



その少し前、エリオットはまたしても授業部屋を訪ねていた。

「アメリアはいるか?」

予定されていた最後の教室に顔を出した彼を見て、マナーの講師が非常に申し訳なさそうな顔をする。

それを確認し、エリオットは回答を察してしまった。

「アメリア嬢でしたら、先程帰られましたけれど……」

「そうか」

早い。

つい、溜息をこらえるべく口を閉じる。

(終わってまだ数分のはずだが?)

同じ城にいるのに、会えないのは寂しい。少しでも顔が見られないだろうかと期待して、立ち寄るようにしている。

しかし、毎回のごとくアメリアは捕まらなかった。

(この前は休憩で、今日はまた『先に帰った』、か)

行動力が強すぎるだろう。

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