悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
いったい何をしているのか。いやだいたいは予想がつく――運が悪いというか、縁のなさを覚えてとうとう溜息がこぼれ落ちる。
「あの、殿下、よろしければアメリア嬢に待ってもらうよう伝えておきましょうか?」
「いや、大丈夫だ。邪魔をしたな、気を付けて帰るといい」
エリオットがほんの少し口元を引き上げると、すでに子も巣立っているマナーの講師が頬を染める。
見送られる熱い視線を背中に感じた。
そのたび自身の容姿の美しさを自覚するのだが――エリオットは、また虚しくなる。
(アメリアには、外見だけでは勝負できない)
どの女性も、微笑まずとも好感を抱いて、目で追い駆けてくれたりする。
けれど、アメリアは違う。
見合いの席で顔合わせをした時、ただ仕事の話でも聞くみたいに向かい側に座っていた。
アメリアにとって、夢中になれるのは見かけだけではないのだ。エリオットだって、押しに押してようやく男性として意識してもらえた。
「――そこも、好きなんだけどな」
意識せず、口からぽろりと言葉がこぼれ落ちた。
その瞬間にカッと顔が熱くなった。自覚して即、彼は「くそっ」と頬を手の甲で拭う。
好き過ぎるのは、エリオットの方だ。
毎日でも会いたいし、触れることが許されるようになった彼女に触りたい――。
(のに、どこに行っているのか)
「あの、殿下、よろしければアメリア嬢に待ってもらうよう伝えておきましょうか?」
「いや、大丈夫だ。邪魔をしたな、気を付けて帰るといい」
エリオットがほんの少し口元を引き上げると、すでに子も巣立っているマナーの講師が頬を染める。
見送られる熱い視線を背中に感じた。
そのたび自身の容姿の美しさを自覚するのだが――エリオットは、また虚しくなる。
(アメリアには、外見だけでは勝負できない)
どの女性も、微笑まずとも好感を抱いて、目で追い駆けてくれたりする。
けれど、アメリアは違う。
見合いの席で顔合わせをした時、ただ仕事の話でも聞くみたいに向かい側に座っていた。
アメリアにとって、夢中になれるのは見かけだけではないのだ。エリオットだって、押しに押してようやく男性として意識してもらえた。
「――そこも、好きなんだけどな」
意識せず、口からぽろりと言葉がこぼれ落ちた。
その瞬間にカッと顔が熱くなった。自覚して即、彼は「くそっ」と頬を手の甲で拭う。
好き過ぎるのは、エリオットの方だ。
毎日でも会いたいし、触れることが許されるようになった彼女に触りたい――。
(のに、どこに行っているのか)