悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「守ってやると決めていたんです。〝俺〟はあの子の兄だから……そう、兄だったのに俺は……」
「ロバート?」
赤薔薇色の瞳の雰囲気が、ゆっくり変化しているように感じた。
眩暈でも起こすのではないか。そう感じて声をかけたら、ロバートがハタとしてエリオットを見つめ返してきた。
「え? なんです?」
その一声に、エリオットは眉を寄せる。
「お前、さっきから変なこと言ってないか?」
「僕、何か言いましたか?」
無意識だったようだ。
すっかり僕口調が似合うニュアンスに戻ったものだから、エリオットも気が抜けた。たぶん気のせいだ。
「なんでもない」
そう言って話を終わらせた。
貴族らしからぬ言葉遣いもするのだから、ロバートの一人称は『俺』の方が自然な気もする――なんとなく、エリオットはそんなことを思った。
◆§◆§◆
「アメリア、最近殿下とは会ったか?」
「え? なんです突然?」
家のリビングルームで再会を果すなり、兄がジャケットの襟元を緩めながら言ってきた。
後ろで使用人が「坊ちゃんはしたないっ」などと小言を上げている。
(自分で先にコートも脱ぐことがあるのよねぇ)
ロバートが以前、腕に抱えて歩いてきた時なんかは、迎えた執事が元教育係としてくどくどと何事かを説いていた。
まぁ、外ではやらないので問題はない。
「ロバート?」
赤薔薇色の瞳の雰囲気が、ゆっくり変化しているように感じた。
眩暈でも起こすのではないか。そう感じて声をかけたら、ロバートがハタとしてエリオットを見つめ返してきた。
「え? なんです?」
その一声に、エリオットは眉を寄せる。
「お前、さっきから変なこと言ってないか?」
「僕、何か言いましたか?」
無意識だったようだ。
すっかり僕口調が似合うニュアンスに戻ったものだから、エリオットも気が抜けた。たぶん気のせいだ。
「なんでもない」
そう言って話を終わらせた。
貴族らしからぬ言葉遣いもするのだから、ロバートの一人称は『俺』の方が自然な気もする――なんとなく、エリオットはそんなことを思った。
◆§◆§◆
「アメリア、最近殿下とは会ったか?」
「え? なんです突然?」
家のリビングルームで再会を果すなり、兄がジャケットの襟元を緩めながら言ってきた。
後ろで使用人が「坊ちゃんはしたないっ」などと小言を上げている。
(自分で先にコートも脱ぐことがあるのよねぇ)
ロバートが以前、腕に抱えて歩いてきた時なんかは、迎えた執事が元教育係としてくどくどと何事かを説いていた。
まぁ、外ではやらないので問題はない。