悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「殿下も、アメリアの好きなことを認めたうえで、将来の結婚を楽しみにしてくれているんだろう?」

手を放したロバートに問われ、アメリアはこくんと頷く。

「ええ、そうですわ。協力もしてもらえました」

「理解があるのは素晴らしいことさ。あれもこれもと制限して、我慢させるような婚約は、幸せじゃないからな」

砕けた調子で言って、ロバートが歯を見せるように笑った。

(そこは『幸せではないからね』でもいいのに)

時々そうやって雑な台詞も、好きだなとアメリアは思った。どうしてか、耳にとても心地よい。

思わず微笑んでしまったようだ。兄が安心したように目を優しく細めて「よしよし」と撫でてきた。

「僕はアメリアがなんの活動をしているのかは分からないけど、同じ楽しみを持った友人と過ごすのは、いいことさ」

今やっているアメリアの行動も分からないのに、兄は全面的に賛同している。

(妹溺愛ゆえ、の甘やかしなのかしら?)

楽しいと思えることを、誰かと一緒にする。

それをいいことだと後押しされて、胸が軽くなった。アメリアにとっても、同志のクラークは特別な存在だから。

同じことで喜べて、同じ感動を一緒に味わえる特別な友人。

この世界で同じ〝推し仲間〟と出会えたなんて、なんて幸運だろう。

「お兄様は、エリオット様を認めているの?」

ずっと聞きそびれていたので、ついでのように尋ねてみた。

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