近くて遠い幼なじみの恋
ジリリリ…

うるさい目覚まし時計の4つ目を手探りで解除しようとゴソゴソと手を布団から出して生暖かい物に手首を触れられて一気に目が覚めた

「目覚まし何個使ってんだよ」

その声に布団から一旦顔を出してまた引っ込めた

「おーい。さち無視か」

何であーちゃんがいるの?!
普通、他の女の所に来る?!

「無視はしてません。…」

神経疑うよ?とまでは言えずモゴモゴと言葉を濁した

「さち?顔見せて」

いつも出さないような甘い声出されると言う事聞いてしまうじゃない!!

「おはよう」

ゆっくりと布団から顔を出して久しぶりのあーちゃんの顔を見た

「ぷっ!めっちゃ目が腫れてる」

瞼が重い。
二日酔いの頭痛も凄い。
なにより1番胸が痛い!
そしてその痛みの当事者が指を差して笑ってる

「髪切った?さちにしては珍しい」

さちにしてはとか…分かるよ女子力低いからたまにしか髪切らないからね。

でも今笑ってたくせに急に真面目な顔するからドキッとする。

「大輝が切ってくれたの。私の事をかんが、あーちゃん?」

指が髪先に触れて真面目な顔にイラつきが見える

「何でさちの事考えて切るんだよ。佳奈いるじゃん」

いるけどさー!
つか、何で婚約者のいる男にイラつかれなきゃいけないの?
知らずに鯛を抱えて行った私の立場は?

「あーちゃんには関係ないじゃない。自分の事で忙しいでしょ?うちに来なくて良いっておばさんに伝言頼んだのに何でまたいるの?
本当に本当にあーちゃん意味わかんない!!」

痛い頭をフル回転させて言いたい事をまくし立てた

「私、準備するから出て行って下さい!もう二度と部屋に入らないでね」

掛け布団を捲りベッドの縁に座り痛い頭を抱えながら手でシッシッと追い払う

今までこんなに強気になった事はない。
あーちゃん中心であーちゃんが大好きで…だから結納がショックで忘れるにはこうするしかない

「ねえ、さち、誘ってんの?」

頭を上げるとあーちゃんの顔が近付いてくるから私は後ろに下がろうとした

「こんなの着て寝てた事ないだろ」

太ももを指でツーッと触れるか触れないかの際どい感じで上下させる

見せる事はもう無いと思ってパジャマ代わりにこの間買ったショートパンツを履いてた。
< 11 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop