近くて遠い幼なじみの恋
大人になって仕事も継いで全部完璧。
私は全然大人になりきれてない。
これは自分でも自覚してる

「おばさん、俺、明日から出張です。」

普通にさっきの話は無視して綺麗な所作で箸を置いた

「あら、何処に行くの?」

綺麗に食べられたお皿を母は片しながら嬉しそう。

(この顔はお土産を期待してるな)

「イギリスに1週間行ってきます」

「い、いい、イギリス?!」

「ホテル経営ノウハウを少し見てくる。さち、きちんと起きろよ」

あーちゃんと1週間とか離れた事がない
いつも出張と言っても3〜4日だった。

だから今まで連絡先なんて知る必要も無かった。
今が聞くチャンスとは思うけど仕事で行くわけだし聞くのを躊躇って、

「きちんと起きるし」

フンっとそっぽを向いたけど寂しい気持ちは変わらない。

「さち、あ、まあ良いや。じゃあ、おばさんご馳走様でした」

何か言いかけてやっぱり綺麗な所作で母にお礼だけ言い丘の上に帰って行った。



あーちゃんが旅立って2日。

既に初日から寝坊で両親から大目玉を喰らい仕方なく目覚まし時計を4つセットをして3日目にして早起きに成功

「4つも鳴られるとお母さんびっくりするんだけど」

今まで1度も起きれた事無かったから喜ぶべきとこなんだけど母は娘の初めての成功より目覚まし時計が気になるらしい。

「おーい!幸いるー?」

店の方から同じ商店街の大輝(たいき)の呼び声がして店の方に顔を出した

「幸!居た居た!ちょっと頼みあってさー」

頼みの言葉に首を傾げてはみた物の同じ商店街仲間のお願いは聞いて上げたくなる

「なんなの、頼みって」

「おばさーん、ちと幸借りる!」

私の質問には全く答えず手首を引っ張り店の外へと連れ出した。

「ちょっと待ってよ!スリッパ片方履いてない!!」

片方スリッパと咄嗟に履いたスニーカーと言うアンバランスな姿で商店街を引き摺られながら走らされる。
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