スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
 (たし)かにさっきのファイルを()たらアイドルみたいだったけど・・・。

 そんなことを(かんが)えていたら、またガラリと(とびら)(ひら)く。

「ごめん、また(おく)れたぁ!」

 そこにはとても身長(しんちよう)(たか)男子(だんし)()っていた。

 スラッとしていて、細身(ほそみ)で、身長(しんちよう)(たか)いからか(かお)(ちい)さく()える。

 つまりかなりのモデル体型(たいけい)

 だけど(ふく)はだらしなく、シャツは第二(だいに)ボタンが(はず)れてる(うえ)全部(ぜんぶ)()てるし、ズボンの(すそ)は、(あし)(なが)いからか(みじか)かった。

 それに()半開(はんびら)きというか、すごい(ねむ)たそう。

 だけどガラが(わる)いわけじゃなくて、口角(こうかく)()がってるからか、(わら)っているように()えた。

 アルカイックスマイルっていうのかな。

 あ、モナリザがこんな(かお)していた()がする!

(おそ)いぞ、ハルマー! ってそれ・・・どうした?」 

 そんな青年(せいねん)(うで)には(しろ)子猫(こねこ)()かれていて、ニャア、と(ちい)さく()いた。

「かわいいー!!」

「どこで(ひろ)ってきたんだよ。」

 ミヤさん(たち)(あつ)まるんだけど、ハルマって()ばれた(かれ)(あたま)(ひと)()けている。

 ほんとう、すごい身長(しんちよう)(たか)(ひと)だな・・・。

「この()()から()りられんくなってしまったみたいでな、(たす)けてあげてん。そしたら(なつ)いてもうて、仕方(しかた)ないから()れてきた。ここ、(ねこ)アレルギーの()おらんかったよな?」

 そうして(みんな)見回(みまわ)した(かれ)が、(わたし)()()けて、その()見開(みひら)く。



 (ふか)(ふか)(うみ)(そこ)のように、いっそ(あお)(かん)じるような()(わたし)()つめた。

 その()は、さっきまでのポワポワとお(はな)()ってるような雰囲気(ふんいき)とはまた(ちが)い、(しず)けさを(かん)じるような、()いだ(ひとみ)だ。

 (あや)しさすらも(かん)じる。

 その()にボーッと見惚(みほ)れていれば、ハルマさんが(さき)(こえ)()した。

「その()は?」

 ハッと(われ)にかえる。

相模(さがみ)風紀委員(ふうきいいん)候補(こうほ)一年生(いちねんせい)だ。お(まえ)先輩(せんぱい)だぞー?」

「えーまじかぁ! おれ、先輩(せんぱい)っぽいこと(なに)もできひんで? あ、はじめまして、(てん)(しろ)って()いて天城(あまぎ)天城(あまぎ) 陽真(はるま)。よろしくな。」

 先輩(せんぱい)だったんだ・・・。

 先輩(せんぱい)はさっきまでの雰囲気(ふんいき)はなくなって、また(おだ)やかでまったりした空気(くうき)(まと)っている。

 ()のせい・・・じゃなかったはずだけど。

 その天城(あまぎ)先輩(せんぱい)言葉(ことば)に、ヒイロ先輩(せんぱい)もこちらを向いた。

「オレも自己紹介(じこしようかい)まだだったな! オレは(いろ)緋色(ひいろ)正義(せいぎ)で、緋色(ひいろ) 正義(まさよし)だ! (まわ)りからはヒーロー先輩(せんぱい)って呼ばれてるから、お(まえ)もそう呼んでくれ!」

「ま、そう()んでるのオレだけなんだけどねー」

 ミヤさんが()(くわ)える。

 ヒーロー先輩(せんぱい)・・・(あつ)いなぁ、この人。

「これで風紀委員(ふうきいいん)全員(ぜんいん)だ!」

「え、(すく)ない・・・」

 (おも)わず(くち)()ていた。

 たった三人(さんにん)

 そういえば、クラスでの委員決(いいんぎ)めに風紀委員(ふうきいいん)って()かったな。

「オレたち風紀委員(ふうきいいん)は、アイツらと一番(いちばん)(ちか)位置(いち)にいるからな。素質(そしつ)必要(ひつよう)なんだ。」

 素質(そしつ)・・・先生(せんせい)()っていた、興味無(きようみな)いってやつ?

「それで、もちろん(はい)ってくれるよな?」

 先生(せんせい)()てきて、ニッと(わら)う。

(はい)りません。」

 ピシャリ、と(ことわ)った。
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