スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
付き合ってくれませんか
これでよかったのかな、なんてずっとモヤモヤしながら、玄関口に着いた。
自分の靴箱へ向かう。
すると、その反対の靴箱の前で誰かが俯いているのが見えた。
どうしたんだろう? 調子でも悪いのかな?
そう思ったけれど、それ以上に、その子の髪に目がいった。
その子の髪、プラチナブロンドだったから。
今までに髪を染めた人は何人か見てきたけど、こんな髪色の人は初めてだった。
しかもその髪、今まで見てきた中で1番綺麗。
一切の絡みもなくサラサラで、天使の輪みたいな艶が浮かんでいる。
肩より少し高い位置で切りそろえられた髪は真っ直ぐだけど、よく見れば毛先だけ緩く内側にカーブしていたから、柔らかい印象だった。
全体的に華奢な体つきをしていたし、髪もボブヘアーだしで女の子だと思っていたけど、よく見ればズボンを履いていて、男の子らしい。
珍しい。
しばらくその珍しさと美しさにぼーっと見入ってしまう。
その子を横目に見ながら自分の靴箱まで行くけれど、ちょうどその子の髪が邪魔をして、顔を見ることができなかった。
こんなに綺麗な髪をした子はどんな顔をしているんだろう。
肌も白いし、きっと、とっても綺麗な顔立ちをしているんだろうな。
そこまで考えて首を振った。
髪が綺麗と顔が綺麗はイコールじゃない。
私、理想を描きすぎてる。
神様は綺麗な髪と綺麗な顔を同時に与えてくれるほど、きっと優しくないんだ。
勝手に理想を押し付けて、否定して、そんなことをしている自分が申し訳なくなって、その子から目を逸らす。
自分の靴箱を開けて、靴を取り出す。
その靴を地面に置こうと振り返ると、その子がこちらを見ていた。
顔を見て、思わず息を呑んだ。
さっきまでの考えが、全て砂の様に崩れていく。
・・・なんて綺麗な子なんだろう。
その子のあまりの美貌に、思わずボーッと見惚れてしまった。
お人形みたいなシャープな線を描く輪郭の中、青緑色のガラス玉のような目が光を反射してきらめいている。
外国の血が入っているのか、スッと通った鼻は高くて、柔らかに膨らんだ頬はほのかに色づいていた。
その姿は天使か妖精か、ここまで綺麗だと人間離れした神神しさすら感じる。
そんな美少年は、私を見てそのエメラルドグリーンのまあるい目を見開いている。
神様は、なんて不平等なんだろう。
漠然と、自分と比較して悲しくなりながら、ふと、先生の言っていた言葉を思い出す。
“「アイツはもう芸術作品の域だからな」”
この子だ・・・!! って思って、一気に目が覚めた。
ぼーっと見惚れている場合じゃない。
きっとこの子が、噂の花菱 光紀なんだ!
花菱 光紀についての話の数数を思い出して、直感する。
関わり合いにならない方がいい。
確実に面倒事に巻き込まれる。
今すぐに回れ右して逃げ出したい気持ちを抑えながら、下を向いて靴を置く。
大丈夫、大丈夫・・・何も気にしてないフリをすればいいだけ・・・。
だけど、静かな玄関口に声が響いた。
「あの!」
話しかけられた、そう気がついた瞬間、体全体が凍った。
自分の靴箱へ向かう。
すると、その反対の靴箱の前で誰かが俯いているのが見えた。
どうしたんだろう? 調子でも悪いのかな?
そう思ったけれど、それ以上に、その子の髪に目がいった。
その子の髪、プラチナブロンドだったから。
今までに髪を染めた人は何人か見てきたけど、こんな髪色の人は初めてだった。
しかもその髪、今まで見てきた中で1番綺麗。
一切の絡みもなくサラサラで、天使の輪みたいな艶が浮かんでいる。
肩より少し高い位置で切りそろえられた髪は真っ直ぐだけど、よく見れば毛先だけ緩く内側にカーブしていたから、柔らかい印象だった。
全体的に華奢な体つきをしていたし、髪もボブヘアーだしで女の子だと思っていたけど、よく見ればズボンを履いていて、男の子らしい。
珍しい。
しばらくその珍しさと美しさにぼーっと見入ってしまう。
その子を横目に見ながら自分の靴箱まで行くけれど、ちょうどその子の髪が邪魔をして、顔を見ることができなかった。
こんなに綺麗な髪をした子はどんな顔をしているんだろう。
肌も白いし、きっと、とっても綺麗な顔立ちをしているんだろうな。
そこまで考えて首を振った。
髪が綺麗と顔が綺麗はイコールじゃない。
私、理想を描きすぎてる。
神様は綺麗な髪と綺麗な顔を同時に与えてくれるほど、きっと優しくないんだ。
勝手に理想を押し付けて、否定して、そんなことをしている自分が申し訳なくなって、その子から目を逸らす。
自分の靴箱を開けて、靴を取り出す。
その靴を地面に置こうと振り返ると、その子がこちらを見ていた。
顔を見て、思わず息を呑んだ。
さっきまでの考えが、全て砂の様に崩れていく。
・・・なんて綺麗な子なんだろう。
その子のあまりの美貌に、思わずボーッと見惚れてしまった。
お人形みたいなシャープな線を描く輪郭の中、青緑色のガラス玉のような目が光を反射してきらめいている。
外国の血が入っているのか、スッと通った鼻は高くて、柔らかに膨らんだ頬はほのかに色づいていた。
その姿は天使か妖精か、ここまで綺麗だと人間離れした神神しさすら感じる。
そんな美少年は、私を見てそのエメラルドグリーンのまあるい目を見開いている。
神様は、なんて不平等なんだろう。
漠然と、自分と比較して悲しくなりながら、ふと、先生の言っていた言葉を思い出す。
“「アイツはもう芸術作品の域だからな」”
この子だ・・・!! って思って、一気に目が覚めた。
ぼーっと見惚れている場合じゃない。
きっとこの子が、噂の花菱 光紀なんだ!
花菱 光紀についての話の数数を思い出して、直感する。
関わり合いにならない方がいい。
確実に面倒事に巻き込まれる。
今すぐに回れ右して逃げ出したい気持ちを抑えながら、下を向いて靴を置く。
大丈夫、大丈夫・・・何も気にしてないフリをすればいいだけ・・・。
だけど、静かな玄関口に声が響いた。
「あの!」
話しかけられた、そう気がついた瞬間、体全体が凍った。