スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
「えっと・・・。」

 (こえ)(かお)()げれば、花菱(はなびし)くんは、じっと(かれ)小指(こゆび)凝視(ぎようし)していた(わたし)怪訝(けげん)そうな(かお)()ていた。

 そこで、(わたし)(へん)なことしていたって(はじ)めて()がついて、(あわ)てて(はなし)()る。

「あの、とりあえず犯人(はんにん)()つけますから。」

「それは()かったけど・・・えっと、まだオレ(たち)自己紹介(じこしようかい)もしてなかったよね。オレは花菱(はなびし) 光紀(みつき)、クラスは2(ねん)4(くみ)だよ。おまえは?」

「私は相模(さがみ) 英子(えいこ)。1(ねん)2(くみ)。とりあえず、よろしくお(ねが)いします。」

 2(ねん)4(くみ)先輩(せんぱい)だったんだ!
 
 身長(しんちよう)(わたし)(おな)じぐらいだし、てっきり同学年(どうがくねん)だと(おも)ってた。

 そういえば、2(ねん)にめちゃくちゃ綺麗(きれい)先輩(せんぱい)()るって(うわさ)()いたことあったかも。

 あれって花菱(はなびし)くん・・・花菱(はなびし)先輩(せんぱい)のことだったんだ。

「とりあえず、それならライン交換(こうかん)しない?」

「あ、うん。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)がQRコードを()せてきたので、()われるがままにラインを交換(こうかん)する。

 (おや)小学生(しようがくせい)時代(じだい)友達(ともだち)とクラスの連絡(れんらく)グループしか()かったラインに、「ミツキ」って名前(なまえ)()えて、なんとも()えない(かお)になった。

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)のライン・・・のファンの()からしたら(のど)から()()るほど()しい(もの)なんだろうなぁ。

「あと・・・あのさ、もう(ひと)つ、(たの)みたいんだけど・・・」

 先輩(せんぱい)(すこ)()ずかしげに、(した)(ゆび)()みながら()いてくる。

 なんだろう、そんな()ずかしそうに(たの)んでくることって・・・。

 (なに)()われるのかって、(すこ)警戒(けいかい)してしまう。

今日(きよう)一緒(いつしよ)(かえ)ってくれない?」

 はぁ?

 そう(くち)()しそうになって、(あわ)てて(おさ)えた。

 え、一緒(いつしよ)(かえ)る・・・? なんで?

 そう()こうとする(まえ)に、先輩(せんぱい)(ほう)から理由(りゆう)()ってくる。

写真(しやしん)に、通学中(つうがくちゆう)()ったものもあって、オレの(いえ)多分(たぶん)()られてるんだ。だからその・・・ダメかな?」

 ダメかな? って、その言葉(ことば)破壊力(はかいりよく)(すさ)まじかった。

 ()()ぐエメラルドグリーンの()()つめられて、ドキッと(むね)高鳴(たかな)る。

 (かれ)(まわ)りに一瞬(いつしゆん)、キラキラした(はな)()いたように()えた。

「ダメ、じゃないけど・・・。」

 (おも)わずそう(くち)()てしまったけれど、すぐに後悔(こうかい)した。

 だって、もし一緒(いつしよ)(かえ)ってる(ところ)学校(がつこう)(だれ)かに()られて(うわさ)になったりしたら、それこそ学園生活(がくえんせいかつ)(かか)わってくるもの。

 もし写真(しやしん)なんて()られてばら()かれたら、もう()(のが)れもできないし。

 あぁ、なんでポロって()っちゃったんだろう(わたし)・・・!

 (いま)からでも(ことわ)ろうか、なんて(おも)ったけれど、「ありがとう!」って(かお)をパアッて(あか)るくした花菱(はなびし)先輩(せんぱい)()たら、()うにも()えなくなってしまった。
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