スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
どうやらこれは、私が一緒に帰ることを承諾したって流れになってしまったみたい。
本当に、やっちゃった・・・。
肩を落としたくなりながら、頭を回す。
この状況から、円満に、一緒に帰らないで済みそうな方法は一つだけしかない。
“今すぐ、ストーカーの犯人を捕まえて安心させること”。
幸運なこと、かどうかは分からないけれど、私には“赤い糸を見る能力”がある
今からでもあの黒い糸を辿って犯人を見つけられれば、花菱くんと私が一緒に帰る理由が無くなるって思うんだ。
「あの、その前に、教室で忘れ物したので取りに行ってもいいですか?」
「あっ、うん、大丈夫だよ。じゃあオレ待ってるから。」
私は花菱先輩の小指を注視して、その指から伸びる黒い糸を、教室に向かうフリをしながら追った。
どうやらストーカーは、この学校にまだ居るみたい。
糸は学校の中に真っ直ぐ伸びている。
糸は、基本的に建物を貫通したりしない。
例外として、ドアは貫通するけど、壁は通れないんだ。
人が通れる場所だけを通って伸びてるみたい。
ということは、犯人は学校に通ってる生徒か先生なのかな。
先生は絞れないけど、生徒だったら部活をしてる人か補習してる人かって、大まかに絞れる。
とりあえず、私は、学校外の人じゃないことに安心していた。
だって学校外の人だったら、見つけても大事にしないことは難しいもの。
子どもだったらまだいいけど、大人だったら立派な犯罪だ。
行き過ぎたら誘拐すらもありえるもの。
学校内の人でよかった。
私は黒い糸を見失わないように、目を凝らしながら辿った。
一瞬でも目を離してしまうと糸が見えなくなってしまうんだ。
だから、思っていたより集中力を使う。
糸を辿って階段を登って、廊下を歩く。
そしてまた階段を降りる。
この学園の校舎は沢山の建物が建ってるからまるで迷路みたい。
だから一筋縄ではいかないみたいで、頭を抱えたくなった。
いつまで辿ればいいんだろう。
もうかなり階段の上り降りしたから息も苦しいし、ずっと黒い糸から目を逸らさないって、予想の何倍も辛い。
物凄い集中力使うの。
それに花菱先輩待たせてるし・・・。
「あれ? えいこりんじゃん、おーい!」
え!? あ、ミヤさん!?
呼ばれて思わず顔を向ければ、そこにはこちらに手を振りながら近づいてくるミヤさんの姿があった。
「そんなとこで空中とにらめっこしてさ、何してるの?」
ミヤさんの何気ない一言で、ハッと思い出す。
糸は!?
さっきまで私が見ていた場所に目を凝らしてみても、何も見えない。
悲しいことに黒い糸は見えなくなってしまった。
うそぉ・・・。
今までの頑張りが、って私は崩れ落ちたくなった。
本当に、やっちゃった・・・。
肩を落としたくなりながら、頭を回す。
この状況から、円満に、一緒に帰らないで済みそうな方法は一つだけしかない。
“今すぐ、ストーカーの犯人を捕まえて安心させること”。
幸運なこと、かどうかは分からないけれど、私には“赤い糸を見る能力”がある
今からでもあの黒い糸を辿って犯人を見つけられれば、花菱くんと私が一緒に帰る理由が無くなるって思うんだ。
「あの、その前に、教室で忘れ物したので取りに行ってもいいですか?」
「あっ、うん、大丈夫だよ。じゃあオレ待ってるから。」
私は花菱先輩の小指を注視して、その指から伸びる黒い糸を、教室に向かうフリをしながら追った。
どうやらストーカーは、この学校にまだ居るみたい。
糸は学校の中に真っ直ぐ伸びている。
糸は、基本的に建物を貫通したりしない。
例外として、ドアは貫通するけど、壁は通れないんだ。
人が通れる場所だけを通って伸びてるみたい。
ということは、犯人は学校に通ってる生徒か先生なのかな。
先生は絞れないけど、生徒だったら部活をしてる人か補習してる人かって、大まかに絞れる。
とりあえず、私は、学校外の人じゃないことに安心していた。
だって学校外の人だったら、見つけても大事にしないことは難しいもの。
子どもだったらまだいいけど、大人だったら立派な犯罪だ。
行き過ぎたら誘拐すらもありえるもの。
学校内の人でよかった。
私は黒い糸を見失わないように、目を凝らしながら辿った。
一瞬でも目を離してしまうと糸が見えなくなってしまうんだ。
だから、思っていたより集中力を使う。
糸を辿って階段を登って、廊下を歩く。
そしてまた階段を降りる。
この学園の校舎は沢山の建物が建ってるからまるで迷路みたい。
だから一筋縄ではいかないみたいで、頭を抱えたくなった。
いつまで辿ればいいんだろう。
もうかなり階段の上り降りしたから息も苦しいし、ずっと黒い糸から目を逸らさないって、予想の何倍も辛い。
物凄い集中力使うの。
それに花菱先輩待たせてるし・・・。
「あれ? えいこりんじゃん、おーい!」
え!? あ、ミヤさん!?
呼ばれて思わず顔を向ければ、そこにはこちらに手を振りながら近づいてくるミヤさんの姿があった。
「そんなとこで空中とにらめっこしてさ、何してるの?」
ミヤさんの何気ない一言で、ハッと思い出す。
糸は!?
さっきまで私が見ていた場所に目を凝らしてみても、何も見えない。
悲しいことに黒い糸は見えなくなってしまった。
うそぉ・・・。
今までの頑張りが、って私は崩れ落ちたくなった。