スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
本編
赤い糸の見える少女
「美咲が委員長やればいいんじゃね?」
「それいい! 美咲って小等部から委員長だったし昔からリーダーシップあったもんね!」
「えー? まぁいいけど、それなら和希が副委員長やってね?」
「りょーかい。」
クラスの前の席で、“持ち上がり組”の生徒達が大きな声で話している。
いわゆる“外部生”の私はその話に耳を澄ませる。
「じゃあ次、委員長やりたいやついるかー?」
「はーい!」
真っ直ぐ上に伸びた手、さっき話の中心だった美咲という女の子だ。
いっさい跳ねていないサラサラで真っ直ぐな黒髪があの子の堂堂とした態度を引き立てているみたい。
その姿には一種のカリスマ性がある。
私は挙げようとしていた手を下ろして、頬杖にした。
「お、斉藤か。他にやりたいやつはいるかー?」
他の誰の手も挙がらず、クラスは拍手に包まれる。
それは委員長が彼女に決定したという合図で、きっと覆ることはない。
私もならって手を叩いた。
「じゃあ委員長は斎藤で決定っと。次に、副委員長をやってくれるやつは・・・。」
次に手を挙げたのは背の高い男の子。
さっき斉藤さんが和希と呼んでいた。
「俺がやりまーす!」
「お、篠田だな。」
左手を挙げている篠田くんの手に目を凝らしてみれば、その小指からは赤い糸が伸びている。
糸を辿った先には斉藤さんが座っていて、やっぱり、なんて思って目をそらした。
早くもクラスの中心になった斉藤さんと、付き合ってるという篠田くん。
斉藤さんも篠田くんも、小等部からこの学校に居る“持ち上がり組”の子だ。
この学校には、小等部、中等部、高等部ってあって、小等部から学校に居る子のことを“持ち上がり組”、中等部から入ってきた子を“外部生”って呼んでるんだよね。
だから、そんな持ち上がり組の二人が、仲いいのは分かるけれど、中学生で付き合ってるとか、マセてると思う。
とりあえず、この二人が委員長と副委員長をするって言うなら、私が入る隙間なんてない。
先生がカッカッと音を立てながら、白いチョークで黒板に二人の名前を書いていく。
私はつまらなそうな顔をしてそれを眺めていた。
あぁ、さよなら、内申アップ・プランA。
これは内申アップ・プランB、生徒会に入る、しかないのかなぁ。
先を思って、はぁ、とため息をつく。
私、内申(学校生活での活躍や成績とかをまとめたもの)を上げるために、出来れば委員長になりたかったんだよね。
結果的には駄目だったんだけど。
ぼーっと先生の方を眺めていると、視界の端でチラリと何かが揺れる。
まただ。
はぁぁ、と今度はもっと深いため息をついてそっちを見れば、女子生徒が座っている。
その子の机の上に置かれた左手の小指周りが、ラメが舞ってるみたいにキラキラ赤く光っていた。
「それいい! 美咲って小等部から委員長だったし昔からリーダーシップあったもんね!」
「えー? まぁいいけど、それなら和希が副委員長やってね?」
「りょーかい。」
クラスの前の席で、“持ち上がり組”の生徒達が大きな声で話している。
いわゆる“外部生”の私はその話に耳を澄ませる。
「じゃあ次、委員長やりたいやついるかー?」
「はーい!」
真っ直ぐ上に伸びた手、さっき話の中心だった美咲という女の子だ。
いっさい跳ねていないサラサラで真っ直ぐな黒髪があの子の堂堂とした態度を引き立てているみたい。
その姿には一種のカリスマ性がある。
私は挙げようとしていた手を下ろして、頬杖にした。
「お、斉藤か。他にやりたいやつはいるかー?」
他の誰の手も挙がらず、クラスは拍手に包まれる。
それは委員長が彼女に決定したという合図で、きっと覆ることはない。
私もならって手を叩いた。
「じゃあ委員長は斎藤で決定っと。次に、副委員長をやってくれるやつは・・・。」
次に手を挙げたのは背の高い男の子。
さっき斉藤さんが和希と呼んでいた。
「俺がやりまーす!」
「お、篠田だな。」
左手を挙げている篠田くんの手に目を凝らしてみれば、その小指からは赤い糸が伸びている。
糸を辿った先には斉藤さんが座っていて、やっぱり、なんて思って目をそらした。
早くもクラスの中心になった斉藤さんと、付き合ってるという篠田くん。
斉藤さんも篠田くんも、小等部からこの学校に居る“持ち上がり組”の子だ。
この学校には、小等部、中等部、高等部ってあって、小等部から学校に居る子のことを“持ち上がり組”、中等部から入ってきた子を“外部生”って呼んでるんだよね。
だから、そんな持ち上がり組の二人が、仲いいのは分かるけれど、中学生で付き合ってるとか、マセてると思う。
とりあえず、この二人が委員長と副委員長をするって言うなら、私が入る隙間なんてない。
先生がカッカッと音を立てながら、白いチョークで黒板に二人の名前を書いていく。
私はつまらなそうな顔をしてそれを眺めていた。
あぁ、さよなら、内申アップ・プランA。
これは内申アップ・プランB、生徒会に入る、しかないのかなぁ。
先を思って、はぁ、とため息をつく。
私、内申(学校生活での活躍や成績とかをまとめたもの)を上げるために、出来れば委員長になりたかったんだよね。
結果的には駄目だったんだけど。
ぼーっと先生の方を眺めていると、視界の端でチラリと何かが揺れる。
まただ。
はぁぁ、と今度はもっと深いため息をついてそっちを見れば、女子生徒が座っている。
その子の机の上に置かれた左手の小指周りが、ラメが舞ってるみたいにキラキラ赤く光っていた。