スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―

アクアリウムな家

 二人(ふたり)一緒(いつしよ)玄関(げんかん)()かう。

 ミヤさんは(はなし)上手(じようず)なようで、全然(ぜんぜん)(はなし)途切(とぎ)れなかった。

 (わたし)()せられて、どんどん(はなし)(はず)んでいく。

「そういやさぁ、えいこりんの担任(たんにん)って、あのにいちゃん先生(せんせい)でしょ? 担任(たんにん)してるとき、どう?」

「どうって()われても、普通(ふつう)だよ? ふざけることはよくあるけど。」

「あははっ、えいこりん(わり)辛辣(しんらつ)ー? もしかしてにいちゃん先生(せんせい)のことキライだったり? (めずら)しいねー、センセー人気(にんき)なのに。」

 ・・・(きら)い?

 (わたし)が、新崎(にいざき)先生(せんせい)のことを?

「そういうわけじゃ・・・、ちょっと、(あし)()()みすぎる(ところ)のある先生(せんせい)だとは(おも)うけど。」

 先生(せんせい)のことを(わたし)(きら)ってるだなんて、(はじ)めて()われたから困惑(こんわく)してしまった。

 (きら)ってるつもりはなかったんだ。

 (すこ)苦手(にがて)だとは(おも)ってたけど、そこ以外(いがい)普通(ふつう)()先生(せんせい)だもの。

「そー? まぁ、どっちでもいいんだけどね。」

 その言葉(ことば)に、ミヤさんの方を()る。

「どっちでもいいんだ、意外(いがい)かも。」
 
 だって、先生(せんせい)とミヤさん仲良(なかよ)さそうだったもの。
 
 こういうのって、(すこ)しは()いところあるよ、みたいな(かん)じで弁護(べんご)するものだと(おも)ってた。

 そんな興味(きようみ)()さそげに()うんだ。
 
「ん? だってさ、(ひと)(だれ)(きら)いになろうと()きになろうと自由(じゆう)じゃん? オレはそこに口出(くちだ)したりしないよ。」

 ミヤさんは()たり(まえ)(よう)()った。

 (ひと)(だれ)(きら)いになろうと()きになろうと自由(じゆう)・・・。

 ミヤさんと(はな)しやすいのって、こういう線引(せんび)きがしっかりしてあって、()()んでこないからなのかもしれない。

 (はじ)めての人とこんなに(はな)せるのがなぜなのか、ようやく()()ちた。

 ミヤさんは、どこまで()()んでいいのか、()かってるんだ。

 (いや)(ところ)一切(いっさい)(あし)()れてこないの。

 それに、(いま)まで(はな)していて、あんまり否定的(ひていてき)なことを()ってない()がする。

 全部(ぜんぶ)、そういう意見(いけん)もあるよねって(かん)じで、()()れてくれている。

 だから安心(あんしん)して自分(じぶん)のことも(はな)せるんだ、きっと。

 ()上手(じょうず)ってこういう(ひと)のことを()うのかな。

 (わたし)(だれ)かと(はな)していても、「ここまで(はな)しても大丈夫(だいじようぶ)かな」って心配(しんぱい)になって、すぐに(はなし)()まってしまうんだ。

 そんな(わたし)にこんなに(はな)させるなんて、やっぱりミヤさんは(すご)い。

 話題(わだい)()るのも上手(じようず)だし。

 感心(かんしん)しながらも、ミヤさんと(ある)時間(じかん)(たの)しくて、すぐに()ぎていってしまう。

 ()がつけば、私達(わたしたち)はもう玄関口(げんかんぐち)(ちか)くまで()ていた。

「あっ、相模(さがみ)さん・・・とミヤ?」

「お、みっくん? もしかして()()わせって、みっくんとだったの?」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)とミヤさんは()()いみたいで、お(たが)いの存在(そんざい)(おどろ)いているようだった。

 そういえば、ミヤさん、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)のことみっくんって()んでたもんね。

 (なか)いいのかな?

「もしかして、二人(ふたり)ってコレだったり?」

 ミヤさんが真剣(しんけん)(かお)小指(こゆび)()てる。

 コレって・・・(ちが)(ちが)う!!

 そのジェスチャーは恋人(こいびと)(あらわ)すものだったから、ブンブンと(くび)()って否定(ひてい)した。

「ちが・・・いや、うん・・・。」

 なんで(うなず)いてるの!?

 一瞬(いつしゆん)そう(おも)ったけれど、すぐに納得(なっとく)する。

 もしかして、ストーカーを()にして・・・?

「なんでうなずいてるのさ。(ちが)うってことくらいさすがに()かるって。・・・それよりさ、二人(ふたり)一緒(いつしよ)(かえ)るのなら、オレも一緒(いつしよ)していい?」

 ミヤさんは「一人(ひとり)(かえ)るのもさみしいしさー、お(ねが)いっ!」って()()わせた。
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