スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
 二人(ふたり)きりで(かえ)って(うわさ)されるのも(いや)だし、ミヤさんと(はな)すの(たの)しいし、(わたし)はミヤさんとも一緒(いつしよ)(かえ)りたいけど・・・って、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)(ほう)()る。

「いいよ。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)はちょっと(まよ)った様子(ようす)だったけど、(わたし)へチラリと()をやってから(うなず)いた。

「やったっ! ありがと、みっくん!」

 (よろこ)ぶミヤさんの言葉(ことば)に、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)(うれ)しそうに口角(こうかく)()げている。

 二人(ふたり)(ちか)くで()ていると、美男美女(びなんびじよ)でお似合(にあ)いのカップルに()えた。

 (なか)いいならなんで彼女役(かのじょやく)(わたし)(たの)んだんだろう・・・?

 疑問(ぎもん)()く。

 (わたし)なんかより、ミヤさんに(たの)んだ(ほう)話上手(はなしじようず)だし、美人(びじん)だから、ストーカーの牽制(けんせい)もできたはずなのに。

 それに本当(ほんとう)風紀委員(ふうきいいん)だから、風紀委員(ふうきいいん)(ほか)(ひと)先生(せんせい)も、協力(きょうりょく)してくれるだろうに。

 なのに、どうして(わたし)を・・・?

「・・・相模(さがみ)も、()こ。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)唐突(とうとつ)()()てに(おどろ)いてそちらを()る。

 もう二人(ふたり)下靴(したぐつ)()()えて(わたし)()っていた。

「あ、はい!」

 (わたし)(いそ)いで()()えて、二人(ふたり)(あと)についていった。

 三人(さんにん)(ある)(かえ)(みち)(すこ)新鮮(しんせん)だ。

 いつも()ている景色(けしき)なのに、まったく(ちが)うみたいに見える。

 三人(さんにん)とも、(いえ)方角(ほうがく)(おな)じみたいで、(まえ)にミヤさんと花菱(はなびし)先輩(せんぱい)(うし)ろに(わたし)って(かたち)(ある)く。

「でね、この(まえ)ハルハルセンパイが(へん)なジュースもらってきてね?」

 ミヤさんが信号(しんごう)()()まったとき、スマホを()()して、私達(わたしたち)()せてきた。
 
 それは写真(しやしん)で、パッケージに甘酒(あまざけ)コーラって()かれたペットボトル飲料(いんりよう)だった。

 (なか)(はい)っている液体(えきたい)(いろ)(しろ)くて、()()だけで()うとカルピスみたいだ。

 甘酒(あまざけ)とコーラ……()()わせて大丈夫(だいじょうぶ)なのかな、その2つ。

甘酒(あまざけ)コーラ、ヤバくない?」

「え、それおいしいの?」

花菱(はなびし)先輩(せんぱい)言葉(ことば)に、ミヤさんは()みを()かべる。

「そう(おも)うっしょ? それがねー、おいしかったんだな。オレもビックリしたよ。甘酒(あまざけ)とコーラ、絶妙(ぜつみょう)なバランスでさぁ。」

 ()うんだ・・・、ちょっと、()んでみたいかも?

 そんな(かん)じで(ある)いていれば、(わたし)()むマンションのすぐ(まえ)まで()た。

 ミヤさんも花菱(はなびし)先輩(せんぱい)も、(わか)れてないってことは、予想(よそう)してたより(いえ)(ちか)いのかな?

 そのことが、なぜかちょっぴり(うれ)しかった。

 だけど、マンションの(まえ)まで()たってことは、ここで二人(ふたり)とはお(わか)れってことになる。

 なんだか・・・(さび)しいな。

 (わたし)、ここだからって(くち)(ひら)こうとしたとき、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)言葉(ことば)(はな)つ。

「オレの(いえ)、ここなんだ。」

 へ!?
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