スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
「・・・とりあえず、お茶とケーキ持ってきたから座って。」
花菱先輩は明らかにショックを受けている様子で、トレーをテーブルに置いた。
や、やっちゃったー!!
明らかに花菱先輩傷ついてるよ、どうしよう!
「えいこりん、それ一番みっくんに言っちゃダメなやつ!! 早く謝った方がいいよ!」
ミヤさんは小声で言ってくる。
「ごめんなさい!」
謝ると、花菱先輩は長い睫毛を伏せて言った。
「いいよ、オレもそういう容姿してる自覚はあるし。こんな髪型してるのが悪いのも分かってる。」
いや・・・髪型のせいもあるんだろうけど、顔立ちもかなり可愛いから、髪型変えても可愛いと思う。
それは口に出さずに、別の疑問を口に出す。
「それなら、どうしてそんな髪型をしてるんですか?」
「敬語無しでいいよ。なんなら先輩もつけなくていい。堅い口調、そんなに好きじゃないんだ。・・・この髪は、兄さんがこれ以上切ると悲しむからやってるだけ。オレの趣味じゃないよ。」
お兄さんの趣味だったんだ。
じゃあもしかして、こんなに綺麗にセットされているのも、お兄さんがやってるのかな。
「それで、どうしてここにオレたちしか住んでないのか、だっけ。」
椅子に座った私達にカップと美味しそうなガトーショコラを配りながら、花菱先輩・・・花菱くんは言った。
うーん、先輩に、先輩つけずに呼ぶってやっぱりハードル高いし違和感。
「・・・オレのせいなんだ。前のマンションで、隣人に監禁されかけたことがある。」
監禁!?
「ごめん! ヤなこと思い出させて! もうそれ以上言わなくていいから。」
ミヤさんの言葉に花菱先輩はゆるく首を振る。
「いいよ。言うって言ったろ。言ったら軽くなるものもあるかもしれないし、言わせてよ。」
ミヤさんは心配そうだ。
やっぱり好きだから、心配なんだね。
「監禁されそうになって、だったらって、親に言われてここに越してきたんだ。各階層ごとにロックが違うから、この階にはオレたちしか入れない。」
それって、まるで囚われているみたい。
そう口に出しそうになって留める。
この広い部屋が、途端に狭いものに思えた。
「昔から誘拐されかけたり、襲われかけたりしたことはよくあって、そのたびに母さんと父さんには呆れられてるんだ。花園学園に通うには家が遠いから近くに越してきたんだけど、それならって、兄さんが一緒に住んでくれてる。・・・でも、家は居心地が悪かったから、今の生活は気にいってるよ。」
花菱先輩は明らかにショックを受けている様子で、トレーをテーブルに置いた。
や、やっちゃったー!!
明らかに花菱先輩傷ついてるよ、どうしよう!
「えいこりん、それ一番みっくんに言っちゃダメなやつ!! 早く謝った方がいいよ!」
ミヤさんは小声で言ってくる。
「ごめんなさい!」
謝ると、花菱先輩は長い睫毛を伏せて言った。
「いいよ、オレもそういう容姿してる自覚はあるし。こんな髪型してるのが悪いのも分かってる。」
いや・・・髪型のせいもあるんだろうけど、顔立ちもかなり可愛いから、髪型変えても可愛いと思う。
それは口に出さずに、別の疑問を口に出す。
「それなら、どうしてそんな髪型をしてるんですか?」
「敬語無しでいいよ。なんなら先輩もつけなくていい。堅い口調、そんなに好きじゃないんだ。・・・この髪は、兄さんがこれ以上切ると悲しむからやってるだけ。オレの趣味じゃないよ。」
お兄さんの趣味だったんだ。
じゃあもしかして、こんなに綺麗にセットされているのも、お兄さんがやってるのかな。
「それで、どうしてここにオレたちしか住んでないのか、だっけ。」
椅子に座った私達にカップと美味しそうなガトーショコラを配りながら、花菱先輩・・・花菱くんは言った。
うーん、先輩に、先輩つけずに呼ぶってやっぱりハードル高いし違和感。
「・・・オレのせいなんだ。前のマンションで、隣人に監禁されかけたことがある。」
監禁!?
「ごめん! ヤなこと思い出させて! もうそれ以上言わなくていいから。」
ミヤさんの言葉に花菱先輩はゆるく首を振る。
「いいよ。言うって言ったろ。言ったら軽くなるものもあるかもしれないし、言わせてよ。」
ミヤさんは心配そうだ。
やっぱり好きだから、心配なんだね。
「監禁されそうになって、だったらって、親に言われてここに越してきたんだ。各階層ごとにロックが違うから、この階にはオレたちしか入れない。」
それって、まるで囚われているみたい。
そう口に出しそうになって留める。
この広い部屋が、途端に狭いものに思えた。
「昔から誘拐されかけたり、襲われかけたりしたことはよくあって、そのたびに母さんと父さんには呆れられてるんだ。花園学園に通うには家が遠いから近くに越してきたんだけど、それならって、兄さんが一緒に住んでくれてる。・・・でも、家は居心地が悪かったから、今の生活は気にいってるよ。」