スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
 はぁ、とため(いき)をついて()(ほお)()える。
 
 それだけ、今日(きよう)新鮮(しんせん)で、(たの)しかったんだ。

 もちろん、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)もいい(ひと)そうだったし、友達(ともだち)になれるものならなりたい。

 嫉妬(しつと)(こわ)いから、人前(ひとまえ)堂堂(どうどう)(はな)すことはできないかもしれないけれど。

 でも、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)は・・・なんだか、(わたし)(ちか)しいものを(かん)じた。

 あんな綺麗(きれい)完璧(かんぺき)(ひと)と、どこに(ちか)しいものを(かん)じたのか自分(じぶん)でも()からないけれど、でも()ているって、そう(おも)ったの。

 きっと、()()うはず。

 ・・・でも、どうやって友達(ともだち)になればいいんだろう?

 
 あぁあ、小学校(しようがつこう)(ころ)はこんなに友達(ともだち)になりたいって(なや)んだことなかったのに!

 小学生(しようがくせい)だったときの記憶(きおく)(おも)()す。

 (わたし)両隣(りようどなり)には、いつもある(おんな)()と、(おとこ)()()た。

「えいちゃんはどっち(えら)ぶの?」

「エーコはオレと一緒(いつしよ)のやつだよな、なっ?」

 セミロングヘアーの可愛(かわい)(おんな)()と、寝癖(ねぐせ)のついた短髪(たんぱつ)(おとこ)()

 ルリちゃんとカオル。

 二人(ふたり)双子(ふたご)で、幼稚園(ようちえん)からの幼馴染(おさななじみ)

 いつも元気(げんき)で、みんなの中心(ちゆうしん)で、話上手(はなしじょうず)で、なのに(わたし)一緒(いつしよ)()てくれた。

 (わたし)(あこが)れの二人(ふたり)

 親友(しんゆう)、だったと(おも)う。

 だったっていうのは、カオルの(ほう)から、いきなり(きら)われちゃったからなんだ。

 あ、ルリちゃんは(いま)親友(しんゆう)だよ。

 最近(さいきん)連絡(れんらく)できてないけど、でもたまに連絡(れんらく)()()ってるんだ。

 ・・・えっと、小学(しようがく)6年生(ねんせい)(はい)ったときだったかな。

 カオルにいきなり、「こっち()んなブス!」って()われちゃったんだ。

 理由(りゆう)なんて、(おも)()たりもしなかったし、()からなかった。

 本当(ほんとう)突然(とつぜん)(あさ)教室(きょうしつ)(はい)って(はな)しかけようとしたら()われたの。

 ビックリして、(すご)いショックで、しばらくずうっと(なや)んでた。

 そういえば、その(ころ)だったかも。

 自分(じぶん)()()自信(じしん)()くなったのって。

 すぐ他人(たにん)(くら)べて、(かな)しくなるの。

 自分(じぶん)でも面倒(めんどう)くさいなって分かってはいるんだけど、()えられないんだよね。

 その()から、カオルはどんどん()()なくなっていった。

 (なに)かしちゃったのかな、って(あやま)ろうとしても無視(むし)されて、連絡事(れんらくごと)(つた)えたときも、「あっそ。」だけ。

 ルリちゃんは「きっと反抗期(はんこうき)なんだよ。えいちゃんのこと(きら)いになったわけじゃない。カオルのこと、(きら)いにならないであげて。」って()ってたから、そうなのかなあって(おも)って、出来(でき)(かぎ)(はな)れて小学(しようがく)6年生(ねんせい)()ごしたけれど。

 結局(けつきよく)、お(わか)れも()えないまま、小学校(しようがつこう)卒業(そつぎよう)して、花園学園(はなぞのがくえん)()てしまった。

 二人(ふたり)とも、元気(げんき)にしてるかなぁ。

 二人(ふたり)とは、どうやって友達(ともだち)になったんだっけ。
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