スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
「ゆうちゃんは委員になる?」
「わたしは係でいいかなぁ。」
周りの人には見えていないみたいで、気にもせず話している。
女子生徒の小指周りで輝いていた光は、ゆっくり形を変えて赤い糸になる。
そのまま彼女の指にギュッと巻き付いて、もう片方の糸の先が真っ直ぐに教卓に向かって伸びていった。
そうして先生の前まで来ると、すうっと消えてしまう。
目を凝らしてみれば、その伸びていた赤い糸は先生の所まで伸びていた。
先生がふと左手を上げればその小指に向かって、沢山の先のない赤い糸が伸びている。
だけど先生自身の指にはどの糸も巻かれていない。
「じゃあ次! 図書委員やりたいやついるかー? ちなみに定員は二人だ!」
1番人気みたいで沢山の手が挙がる。
教室は何も変わらずに委員決めを進めているようで、どうやらこの不思議な光景を見ることができているのは私だけみたいだった。
私がこの花園学園中等部に入学してから、ずっとこの調子。
人と人との間を目を凝らして見てみれば、なぜか赤い糸が見えてしまうんだ。
これまで見てきて気がついたことは、赤い糸が繋がるにはルールがあるということ。
まず、多分初恋の瞬間には、さっきみたいに小指周りが赤く光る。
これは目を凝らさなくても見えるから、今までに5回ぐらい見た。
この赤い光が糸になって、好きな人に伸びていく。
そうして、両思いだったらその人の糸と繋がるの。
片思いだったら、その糸は相手の指とは繋がらずにその周りをふよふよ浮いてるんだ。
先生の小指みたいに。
これ、他人の初恋の瞬間を見て、その相手も、両思いかも知っちゃうんだから、凄い気まずい気分になって困ってるんだよね。
赤い糸にも種類というか、個体差があるみたいで、今にも千切れそうなくらい細い糸や、消えかかってる糸、ピンと張った太い糸、オレンジっぽい糸やピンクっぽい糸、色色な糸があるみたい。
やっぱりこれって、あの“運命の赤い糸”ってやつなのかな。
ああ、でも運命にしてはホイホイ伸びすぎだし、恋の赤い糸?
あれこれ考えているうちにチャイムが鳴る。
「起立! 礼! 着席!」
今は6時間目。
もう後はホームルームだけで、先生は続けて明日の連絡にうつった。
「今日は数学から宿題が出たって言ってたな。忘れずにやっておくよーに! 明日やろうは馬鹿野郎ってな。考えて進めるんだぞー。」
「・・・なんで俺を見るんスか!」
「よく言うよ。町井田は入学の時のも忘れてたからな。信頼の無さってやつだ。」
「にいちゃん先生手厳しーっ!」
先生の若干面白がっているような言葉で、クラスにドッと笑いが溢れる。
にいちゃん先生こと、新崎先生。
私達のクラスの担任で国語教師をしている。
病的に見えるくらい色白で体も薄いから、最初は病弱そうな印象を受けるんだけど、性格はその逆でかなりアクティブ。
話上手で面白いから、すぐに生徒の心を掴んだんだよね。
ふわふわの淡い茶髪と茶色の目が透き通るみたいに綺麗で、メガネをしているからか知的に見える。
生徒の間では“イケメン教師”って噂になってるみたい。
だから有名人で、左手の小指を見た通り、かなりモテてるんだって。
「あ、相模、お前は今日残ってくれないか?」
じーっと眺めていたら、急に目があってドキリとする。
「わたしは係でいいかなぁ。」
周りの人には見えていないみたいで、気にもせず話している。
女子生徒の小指周りで輝いていた光は、ゆっくり形を変えて赤い糸になる。
そのまま彼女の指にギュッと巻き付いて、もう片方の糸の先が真っ直ぐに教卓に向かって伸びていった。
そうして先生の前まで来ると、すうっと消えてしまう。
目を凝らしてみれば、その伸びていた赤い糸は先生の所まで伸びていた。
先生がふと左手を上げればその小指に向かって、沢山の先のない赤い糸が伸びている。
だけど先生自身の指にはどの糸も巻かれていない。
「じゃあ次! 図書委員やりたいやついるかー? ちなみに定員は二人だ!」
1番人気みたいで沢山の手が挙がる。
教室は何も変わらずに委員決めを進めているようで、どうやらこの不思議な光景を見ることができているのは私だけみたいだった。
私がこの花園学園中等部に入学してから、ずっとこの調子。
人と人との間を目を凝らして見てみれば、なぜか赤い糸が見えてしまうんだ。
これまで見てきて気がついたことは、赤い糸が繋がるにはルールがあるということ。
まず、多分初恋の瞬間には、さっきみたいに小指周りが赤く光る。
これは目を凝らさなくても見えるから、今までに5回ぐらい見た。
この赤い光が糸になって、好きな人に伸びていく。
そうして、両思いだったらその人の糸と繋がるの。
片思いだったら、その糸は相手の指とは繋がらずにその周りをふよふよ浮いてるんだ。
先生の小指みたいに。
これ、他人の初恋の瞬間を見て、その相手も、両思いかも知っちゃうんだから、凄い気まずい気分になって困ってるんだよね。
赤い糸にも種類というか、個体差があるみたいで、今にも千切れそうなくらい細い糸や、消えかかってる糸、ピンと張った太い糸、オレンジっぽい糸やピンクっぽい糸、色色な糸があるみたい。
やっぱりこれって、あの“運命の赤い糸”ってやつなのかな。
ああ、でも運命にしてはホイホイ伸びすぎだし、恋の赤い糸?
あれこれ考えているうちにチャイムが鳴る。
「起立! 礼! 着席!」
今は6時間目。
もう後はホームルームだけで、先生は続けて明日の連絡にうつった。
「今日は数学から宿題が出たって言ってたな。忘れずにやっておくよーに! 明日やろうは馬鹿野郎ってな。考えて進めるんだぞー。」
「・・・なんで俺を見るんスか!」
「よく言うよ。町井田は入学の時のも忘れてたからな。信頼の無さってやつだ。」
「にいちゃん先生手厳しーっ!」
先生の若干面白がっているような言葉で、クラスにドッと笑いが溢れる。
にいちゃん先生こと、新崎先生。
私達のクラスの担任で国語教師をしている。
病的に見えるくらい色白で体も薄いから、最初は病弱そうな印象を受けるんだけど、性格はその逆でかなりアクティブ。
話上手で面白いから、すぐに生徒の心を掴んだんだよね。
ふわふわの淡い茶髪と茶色の目が透き通るみたいに綺麗で、メガネをしているからか知的に見える。
生徒の間では“イケメン教師”って噂になってるみたい。
だから有名人で、左手の小指を見た通り、かなりモテてるんだって。
「あ、相模、お前は今日残ってくれないか?」
じーっと眺めていたら、急に目があってドキリとする。