スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
 ・・・(おも)()せないなぁ。

 ()がつけば(となり)にいて、友達(ともだち)だった()がする。

 幼稚園(ようちえん)からの()()いだもん。

 でもそうだなぁ、5歳(年長さん)(とき)だったかなぁ、よく一緒(いつしよ)()るようになったのって。
 
 ・・・だけどきっと、(わたし)から友達(ともだち)になったんじゃない。

 二人(ふたり)から(はな)しかけてきたんだ、多分(たぶん)

 だって、その(ころ)(わたし)人見知(ひとみし)りで、自分(じぶん)から(だれ)かに(はな)しかけるなんてとても出来(でき)なかったはずだもの。

 きっと二人(ふたり)から、一緒(いっしょ)(あそ)ぼうとか(さそ)われたんだ。

 ・・・あれ、それって結局(けっきょく)(わたし)って自分(じぶん)から友達(ともだち)(つく)ったことが()い・・・?

 その事実(じじつ)()づいてしまって、衝撃(しようげき)()ける。

 あれ、友達(ともだち)ってどう(つく)ればいいんだろう!?

英子(えいこ)〜! 夕飯(ゆうはん)できたわよ〜!」

 お(かあ)さんがリビングから(わたし)()ぶ。

 結局(けつきよく)勉強(べんきよう)全然(ぜんぜん)(すす)まずに夕飯(ゆうはん)()ばれてしまった。

 ああぁ、大切(たいせつ)時間(じかん)が・・・。

 今日(きよう)のことで(あたま)がいっぱいいっぱいで、()づけば時間(じかん)()ぎてしまっていた。

 (なに)やってるんだ、(わたし)

 (わたし)から勉強(べんきよう)()ったら、(なに)(のこ)らないっていうのに。

 (あたま)をブンブン(よこ)()って、気分(きぶん)()()える。

 モヤモヤ(かんが)えるな(わたし)

 勉強(べんきよう)するときは勉強(べんきよう)集中(しゆうちゆう)

 (かんが)えるのはその(あと)でいい。

 今日(きよう)一切(いつさい)()()けていないワークに(しおり)(はさ)んで、パタンと()じる。

 そしてお(かあ)さんの()つリビングへと()かった。

 リビングからはデミグラスソースのいい(かお)りが(ただよ)ってくる。

 ハンバーグだ!

 そう()がついて(わたし)()(かが)いた。

 ハンバーグは、(わたし)大好物(だいこうぶつ)なんだ。

 (とく)にお(かあ)さんの(つく)るハンバーグは絶品(ぜっぴん)

 弾力(だんりよく)のあるお(にく)()むと、肉汁(にくじゆう)がじゅわっと(あふ)()て、(くち)いっぱいにお(にく)旨味(うまみ)(ひろ)がるの。

 それがもう、美味(おい)しくて!

今日(きよう)牛挽肉(ぎゆうひきにく)(やす)かったの。それに英子(えいこ)(よろこ)ぶかなあって(おも)って。」

「ありがとう!」

 予想(よそう)(どお)り、(せき)についた(わたし)(まえ)には、ハンバーグが鎮座(ちんざ)していた。
 
「お(とう)さんは?」

今日(きょう)(おそ)くなるって。(さき)()べてていいみたいよ。」

 (はや)()べたいって(おも)っていたから、その言葉(ことば)()いて、すぐに()()わせた。

「いただきます。」

 そしてお味噌汁(みそしる)一口(ひとくち)()んでから、ハンバーグに(はし)を入れる。

 肉汁(にくじゆう)がじゅわあっと()てきて、(おも)わず(ほお)(ゆる)んだ。

 う〜ん、おいしそう!

 (くち)(はこ)ぶと旨味(うまみ)肉汁(にくじゆう)一緒(いつしよ)(くち)いっぱいに(ひろ)がった。

「おいしい!」

「それは()かった。」

 どんどん(はし)(すす)むけれど、ふと()まって()()んで、(なに)もなくなった(くち)(ひら)いた。

「・・・あのさ。」

「ん? なに?」

「お(かあ)さん、友達(ともだち)ってさ、どうやって(つく)るの?」

 お(かあ)さんは(おどろ)いたように(まゆ)()げた。
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