スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
友達(ともだち)(つく)(かた)?」

 ()(かえ)されたから、うんと(うなず)く。

 お(かあ)さんは(わたし)(ちが)って社交性(しやこうせい)があるんだ。

 (だれ)とでも、(はじ)めての(ひと)でも()たり(まえ)みたいに(はな)せるの。

 友達(ともだち)(おお)いみたいで、よく同窓会(どうそうかい)とかに()ってるのを()る。

 そんなお(かあ)さんなら、もしかして()かるかもしれない。

 お(かあ)さんはうーん、と(なや)んでから(わら)った。

()われてみれば()からないかも。(むずか)しいね。」

()からないの?」



 パチパチと(まばた)きをした。

 お(かあ)さんでも、()からないんだ。

 友達(ともだち)(おお)(ひと)なのに。

「だって友達(ともだち)って、()づけばなってるものだもの。」

 その言葉(ことば)になんとも()えない(かお)になる。

 ()づけばなってるって、そんな曖昧(あいまい)な。

 でも、(わたし)とルリちゃんとカオルの関係(かんけい)もそうだったな。

 そういうものなのかなぁ友達(ともだち)って。

 でも、それって、(こた)えが()からないから(すご)くハードルが(たか)いように(おも)える・・・。

()いて()うなら、自分(じぶん)から(はな)しかけること、かしら。相手(あいて)から話題(わだい)()られるのを()つより、自分(じぶん)から()っちゃったほうが確実(かくじつ)でしょ?」

 うっ、(わたし)苦手(にがて)なことだ。

 (はな)しかけようと思っても、(なに)(はな)せばいいか()からなくて、そんなこと(かんが)えてる(あいだ)にタイミングを(うしな)ってしまうんだ。

 それに、(はな)しかけたら(はな)しかけたで、(はなし)(つづ)けられないし。

「その(はな)しかけ(かた)()かったら苦労(くろう)しないよ・・・。」

「それは、()れるしかないわねえ。というか、そんなこと()くなんて、友達(ともだち)になりたい()でもいるの?」

 パッとミヤさんの姿(すがた)()かんだ。

「・・・ううん、なんでもない。ただ()いただけ。」

 なんとなく、ミヤさんのことは(かく)す。

 だって、なんだか・・・()ずかしかったんだもの。

「・・・そうねえ、お(かあ)さんも、(むかし)はそうだった。」

 え?

 突然(とつぜん)言葉(ことば)(おどろ)く。

 (むかし)はそうだったって・・・(わたし)(おな)じで人付(ひとづ)()いが苦手(にがて)だったってこと?

 そんな、うそでしょ?
 
 お(かあ)さん(いま)はあんなに社交上手(しやこうじょうず)なのに。

「お(かあ)さんもね、(むかし)はすごい人見知(ひとみし)りで、(ほん)(むし)だったの。」

 (ほん)(むし)って、(ほん)ばっかり()んでいる(ひと)のことで、(わたし)もそんな(ひと)なんだけど、まさかお(かあ)さんもそうだったなんて。

 意外(いがい)すぎて、お(はし)()まった。

「いつも(ほん)ばっかり()んでいて、友達(ともだち)(すく)なかった。空想(くうそう)世界(せかい)にずっと(ひた)ってるようなそんな()だった。」

 へええ。

 (いま)のお(かあ)さんからは想像(そうぞう)ができない。

 だって(いま)のお(かあ)さんはすごいアクティブ。

 (いえ)より(そと)にいる(ほう)がいきいきするような、そんな(ひと)だから。
< 31 / 60 >

この作品をシェア

pagetop