スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
 その(かお)が、(すこ)可哀想(かわいそう)になって、(くち)(はさ)む。

「あの、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)場合(ばあい)仕方(しかた)ないと(おも)います。(つね)視線(しせん)(さら)されているから、()れちゃってるんですよ。」

 (わたし)言葉(ことば)に、ミヤ以外(いがい)(みんな)()(まる)くした。

 ん?

「あの・・・(わたし)(なに)(へん)なこと()いました?」

 本当(ほんとう)のこと()っただけのはずなんだけど・・・。

 ()(まる)くされる理由(りゆう)()からなくて、()いてみる。

「あ、ああ、いやな、まさか相模(さがみ)がそんなこと()うとは(おも)ってなくて、意外(いがい)だったというか・・・。でも、そうやって()えるのはいい(こと)だよ。」

 先生(せんせい)がふっと微笑(ほほえ)みながらそんなこと()うから、(わたし)()められて(うれ)しいような、微妙(びみよう)なような、なんとも()えない(かお)になってしまう。

花菱(はなびし)もごめんな。配慮(はいりよ)()りなかった。(たし)かに相模(さがみ)()(とお)り、お(まえ)環境(かんきよう)だと()れても仕方(しかた)()いな。」

「でも、警戒心(けいかいしん)(うす)いのは(たし)かにそうなので、()をつけます。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)はどこかホッとした様子(ようす)先生(せんせい)()った。
 
「まぁ、とりあえず(オレ)写真(しやしん)分析(ぶんせき)行動(こうどう)パターンを(つか)むから、それまでチームB、チームAは花菱(はなびし)(まわ)りにできる(かぎ)()て、見張(みは)っててくれ! ハルマはクラスが(ちか)いだろ? たまに(のぞ)きに()くなりして、クラス(ない)様子(ようす)確認(かくにん)して()しい。」

 あぁ、クラスが(ちか)いから、もしかしてチームAに(えら)ばれたのかな?

「わかった。(へん)(ひと)()たらすぐ報告(ほうこく)するわ。それにみっくんのなるべく(ちか)くに()るようにするな。」

 天城(あまぎ)先輩(せんぱい)花菱(はなびし)先輩(せんぱい)にアイコンタクトをとると、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)(うなず)いた。

「わかった。」

 (わたし)は、どうすればいいんだろう?

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)と、クラスも(ちか)くもなければ、このストーカーの(けん)()ければ(はな)すこともなかった関係(かんけい)だ。

 あ、でも(いえ)靴箱(くつばこ)(ちか)かったか。

相模(さがみ)はいわゆる牽制(けんせい)だ。できる(かぎ)花菱(はなびし)予定(よてい)()わせて(ちか)くに()てくれ。女子(じょし)花菱(はなびし)(そば)()るってだけで、そのストーカーにはかなりの効果(こうか)だろうからな。もしかしたらボロを()すかもしれない。」

 なるほど。

 あれ、でもそれってやっぱり恋人(こいびと)勘違(かんちが)いされるとかあるんじゃ・・・。

「あの、それって勘違(かんちが)いされたりしないですか?」

勘違(かんちが)いって(なに)が?」

 先生(せんせい)のきょとんとした様子(ようす)にうっと()まる。

 その(くらい)(さつ)してほしかった。

 だって、こんなこと、自意識過剰(じいしきかじよう)みたいで()いづらいじゃない。

「その、(わたし)花菱(はなびし)先輩(せんぱい)関係(かんけい)、とか。」

「ああ、とりあえず相模(さがみ)一時的(いちじてき)風紀委員(ふうきいいん)(はい)ってるってことにしとけばいい。そうすれば文句(もんく)はあれど、(まわ)りは納得(なつとく)するさ。」

 えええ・・・。

 先生(せんせい)のその言葉(ことば)に、(なん)だかいいように(まる)()まれてしまった()がする。

 結局(けつきよく)(わたし)風紀委員(ふうきいいん)(はい)ったことになるのね。

 もしかして、そのまま加入(かにゆう)させられたりして。

 ・・・なんだかなぁ。
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